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Nexonは、25年間運営してきたオンラインゲーム「Crazy Arcade」のサービスを8月13日に終了する。2025年に過去最高業績を更新する一方で、2026年2月に就任したパトリック・ソーデルルンドNexon日本法人会長が掲げる「利益下限線」に基づき、ポートフォリオの見直しを本格化させた格好だ。長寿タイトルやクラシックIPも例外としない方針が、今回の終了でより鮮明になった。

◆「利益下限線」で見直し加速

ソーデルルンド会長は3月、東京で開いた資本市場ブリーフィング「CMB 2026」で、「Nexonのポートフォリオは広すぎる」としたうえで、「新たに定めた利益下限線を満たす、もしくは上回るプロジェクトだけを残す」と述べた。

あわせて、「Nexonは難しい決断を下すのが遅すぎた」「事業性のないプロジェクトがマージンを圧迫してきた」と指摘。大規模な人員削減ではなく、人材の再配置と非効率なプロジェクトの中断を速やかに進める方針も示していた。

その後、見直しは急速に進んだ。4月には17年間運営してきた「Bubble Fighter」のサービス終了を発表し、新作「Project EL」の開発中止も決めた。

さらに、「Dungeon&Fighter Mobile」の中国サービス運営権はTencentに全面移管した。第1四半期のアーニングレターでは、品質や商業性の基準を満たさなかった3件のプロジェクトを追加で中断したことも明らかにした。一方で、初期テストで同時接続者数3万7000人を集めた「Nirvana: Last Paradise」と「Wu Chi the Wayfarer」には資源を重点配分している。「Crazy Arcade」の終了も、この一連の再編の流れに位置付けられる。

もっとも、業績は好調だ。Nexonの2025年の年間売上高は4兆5072億ウォン、営業利益は1兆1765億ウォンで、いずれも過去最高を更新した。2026年第1四半期も、売上高、営業利益、純利益のすべてで四半期ベースの過去最高を記録している。

年末時点の現金同等物は7兆6775億ウォンに達した。業績面だけを見れば、大規模な構造改革を急がなければならない局面とは見えにくい。

それでもソーデルルンド会長が体質改善を急ぐ背景には、コスト構造の変化がある。Nexon Koreaの監査報告書によると、営業費用は2024年の2兆252億ウォンから2025年には2兆4822億ウォンへと増加し、1年間で4570億ウォン膨らんだ。外注費は39%、人件費は10%それぞれ増えた。

売上高の伸びが費用増を上回り、収益性は改善したものの、サービス維持にかかるコストそのものは数千億ウォン規模に膨張している。限られた人員と予算をどのタイトルに振り向けるのか、配分判断の重みが増している。

業績が堅調なうちにポートフォリオを組み替えれば、短期的な影響は吸収しやすい。逆に、業績が鈍化した後で構造改革に踏み切れば、コスト削減と成長投資を同時に進める必要がある。ソーデルルンド会長は、余力のある段階で先手を打つ判断を下したとみられる。

◆「Crazy Park」系IPを再編 Crazy Arcadeは終了、KartRiderは刷新へ

今回の決定は、単一タイトルの終了にとどまらない。Nexonのカジュアルゲーム群、とりわけ「Crazy Park」系IP全体の再編の一環と受け止められている。

「Crazy Arcade」は2001年のリリース以降、「Dao」「Bazzi」といったキャラクターを前面に打ち出し、PCバン文化をけん引してきた。同じ世界観から派生したレースゲーム「KartRider」はeスポーツへ広がり、シューティングゲーム「Bubble Fighter」も累計会員数1000万人を超えた。

ただ、「KartRider」の原作は2023年3月にサービスを終了した。グローバル向けマルチプラットフォーム作品としてIP継承を狙った後継作「KartRider: Drift」も、2025年10月にサービスを終えている。「Bubble Fighter」は今月24日に終了し、「Crazy Arcade」まで終了すれば、現在サービス中の「Crazy Park」系タイトルはモバイルの「KartRider Rush+」程度に限られる。

業界が今回の決定に注目するのは、Nexonが事実上の「例外領域」とみなしてきたクラシックIPまで対象に含めたためだ。Nexonは2025年、「クラシックグループ」を新設し、「Baram: The Kingdom of the Winds」「TalesWeaver」「The Legend of Darkness」「Asgard」「Crazy Arcade」などの旧作IPを別枠で管理してきた。

これらのクラシックIPは、短期的な収益性よりも、象徴性やユーザーベースの維持に重きが置かれる領域とみられてきた。「Crazy Arcade」が例外ではなくなったことで、コンテンツ更新が事実上止まっている他のクラシックIPにも再編が及ぶ可能性があるとの見方が出ている。もっとも、Nexonは現時点で他のクラシックIPについて追加の終了計画はないとしている。

一方で、「Crazy Park」IPそのものを完全に閉じるわけではない。Nexonは23日、「KartRider」IPをベースにした開発プロジェクトの正式名称を、原作と同じ「Crazy Racing KartRider」とすることを決めた。IPを現代的な形で再活用する方針を改めて示した格好だ。

新たな「KartRider」は、原作の感性や走行感、操作感といった中核的なゲーム性を土台に開発を進めている。ロビー画面の再設計に加え、64ビット化やDirectX 11対応など、クライアントの刷新も並行して進める。公式Webサイトで開発状況を定期的に共有し、ユーザーとのコミュニケーションも強化する方針だ。

こうした動きは、今回のポートフォリオ再編が単なる長寿IPの縮小ではないことを示している。従来のライブサービス構造を整理する一方で、実績あるIPは現在の市場環境に合わせて再構成するという方向性だ。「Crazy Arcade」と「Bubble Fighter」は終了する一方、「KartRider」は原作の感性を軸に再出発を図ることになる。

◆コスト削減は出発点 焦点は中核IPへの再投資

カン・デヒョンNexon Korea共同代表は、NDC 2026の基調講演後に報道陣に対し、「ゲームサービスが終了しても、IPは継続できるようにする」と語った。「Crazy Arcade」については、「MapleStory World」のように、ユーザーがコンテンツを制作・共有するUGCプラットフォーム型でIPを継承する可能性にも言及した。ただ、具体策はまだ公表しておらず、構想段階にあるとしている。

Nexonは、整理によって生まれた資源を中核IPとグローバル新作に再配分する戦略も並行して進める。ソーデルルンド会長が創業したEmbark Studiosの開発方式のように、少人数でもグローバルで成果を狙えるプロジェクトへ資源を集中する構想も示している。

長寿タイトルの終了は、コスト効率化だけでは済まない。長年にわたってキャラクターや記録、課金資産を積み上げてきたユーザーにとって、サービス終了は単なる事業判断ではなく、「思い出の喪失」と受け止められる可能性があるためだ。Nexonが「Crazy Arcade」のIPを今後どう継承していくのかは、クラシックIP運営全体への信頼を左右する最初の試金石になりそうだ。

業界関係者は「ソーデルルンド体制の核心は、単なるコスト削減ではなく、どのプロジェクトに人員と資本を再配分するかにある」と指摘する。そのうえで、「『Crazy Arcade』終了後にNexonがIPをどう継続し、『KartRider』のような実績あるIPの刷新を成果につなげられるかが、ポートフォリオ再編の成否を左右する」と話した。

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