米国のロボット供給網再編は、関税論を超えて資金支援や原材料確保へと争点が広がっている。写真=Shutterstock

米国が中国製ロボットの輸入規制強化に向けた検討に入った。米中の技術競争は半導体中心から、ロボットやフィジカルAIの分野へと広がりつつある。米国が国内ロボット産業の育成と供給網の再構築を急ぐ一方、中国はレアアースや磁石の供給をてこに対抗する構図だ。

24日付のCryptopolitanによると、ハワード・ラトニック米商務長官は最近開かれた非公開のラウンドテーブルで、中国政府の支援を受けたロボットの輸入問題を精査しており、検討がまとまり次第、必要な措置を講じる可能性があると明らかにした。

ラトニック長官は「国家補助を受けたロボットが米国を攻撃する状況は避けなければならない」と述べ、これを「迫り来る軍拡競争」に例えた。業界では、関税引き上げにとどまらず、輸出規制や取引制限対象への指定、投資規制など、より強い措置に発展する可能性があるとの見方が出ている。

会合にはSpaceX、Boston Dynamics、JP Morgan Chase、Goldman Sachs、Siemens、Rockwell Automationなどの幹部が参加した。米製造業基盤の再生と、次世代ロボット生産に必要な供給網を国内に構築する方策について集中的に議論したとされる。

出席企業は、工場新設に伴う資金調達や許認可手続きが最大の障害だと指摘した。これを受け、米政府も国内ロボット産業の育成に直接乗り出す構えを強めている。

支援の動きは、商務省より先に国防総省側で表面化した。米国防総省の戦略資本局は、米ロボット新興企業のFoundation RoboticsとStandard Botsに対する融資を検討しているという。Standard Botsの共同創業者兼CEO、エバン・ビアード氏は「政権が実際に資金を投じようとしている」とした上で、「米国内への製造業回帰を可能にする中核要素だ」と評価した。

商務省は3月、米国のロボット供給網を巡るラウンドテーブルを開催した。4月30日には、中国製ドローンとロボットが国家安全保障に与える影響を調べる正式調査の開始も発表している。22日の非公開会合は、検討が実際の措置を視野に入れた段階に入ったことを示すものと受け止められている。

これに対し、中国も同日に対抗措置を打ち出した。中国商務部は22日、MP MaterialsやUSA Rare Earthsを含む米企業10社を、軍民両用(デュアルユース)品目の輸出禁止対象に追加した。対象企業は、米国内のレアアース精製や永久磁石生産を主導する企業だという。

レアアース永久磁石、とりわけネオジム・鉄・ホウ素磁石は、ロボットのアクチュエーターや電動モーター、データセンターの冷却システムに欠かせない中核部材だ。業界では、中国の措置が米国のロボット産業のコスト負担を押し上げる圧力材料になり得るとの見方が出ている。

株式市場も反応した。ロボット掃除機メーカーのiRobot株は1日で30%超上昇し、Richtech Robotics、Serve Robotics、WeRideなどロボット関連銘柄も買われた。Sherwood Newsは、米政府が国内ロボット産業の育成に総力を挙げているとの見方を示した。

米国外でも、ロボット産業の保護と育成に向けた動きが続く。韓国の産業通商資源部・貿易委員会は今年、中国製の産業用ロボットに最大19.85%の反ダンピング関税を課した。日本は2040年までに、フィジカルAI分野の17の中核領域に10兆5000億円を投じる計画を策定している。

業界では、半導体が中心だった米中の技術覇権争いが、ロボットとフィジカルAIへ広がっているとの見方が強まっている。米国は中国製完成ロボットの規制検討と並行して自国企業への資金支援を拡大し、中国はレアアース供給網を戦略資産として活用している。今後は、米商務省の調査結果と実際の規制水準、さらに国防総省による資金支援の有無が、世界のロボット供給網再編を左右する主要な変数になりそうだ。

キーワード

#ロボット #フィジカルAI #米中対立 #レアアース #供給網 #米商務省 #米国防総省
Copyright © DigitalToday. All rights reserved. Unauthorized reproduction and redistribution are prohibited.