Disney前最高経営責任者(CEO)のボブ・アイガー氏は、Appleとの統合構想を検討したことがあったものの、実現には至らなかったと明らかにした。英Financial Times(FT)のインタビューで語った。
米ITメディア9to5Macが23日(現地時間)に報じた。アイガー氏はFTの取材に対し、AppleとDisneyの統合案が一時検討対象になっていたと説明した。
この発言は、Disneyでの自身の経営を振り返る文脈で出たものだ。インタビューでは、DisneyのM&A戦略やテクノロジー企業への関心にも話題が及び、その中でAppleとの統合構想に改めて触れた。
アイガー氏はこれまでも回顧録の中で、スティーブ・ジョブズ氏が存命であれば、AppleとDisneyは一つになっていた可能性があるとの見方を示していた。今回のインタビューでは、ジョブズ氏の死後も自身は実現を望んでいた一方、Appleはそれほど前向きではなかったと説明した。
AppleとDisneyの統合観測は、長年にわたり業界で取り沙汰されてきた。背景にはジョブズ氏とDisneyの関係がある。ジョブズ氏はPixarとDisneyの取引を通じてDisneyの大株主となり、アイガー氏とも近い関係を築いていた。回顧録に記された「ジョブズ氏が生きていればAppleとDisneyは一緒になっていた」との趣旨の発言も、こうした文脈から注目を集めてきた。
アイガー氏はこのほか、検討の末に見送ったX(旧Twitter)の買収にも言及した。当時は、Twitterの買収がDisneyの重荷になりかねないとの懸念から撤退したという。
もっとも、今回の発言だけで両社が具体的な交渉段階に入っていたと断定するのは難しい。確認できるのは、両社の間で対話があり、アイガー氏は統合に意欲を示した一方で、Apple側は強い関心を示さなかったという点にとどまる。
その意味で今回の発言は、取引再開の可能性を示すものというより、Disneyが当時、テクノロジー企業との大型再編まで視野に入れていたことを改めて浮き彫りにしたものといえそうだ。
また、この発言がアイガー氏自身の経営の軌跡を振り返る中で出た点も注目される。Disneyの大型買収路線、テクノロジー企業への関心、そしてジョブズ氏死後も続いたAppleとの接点が改めて示され、両社の関係を巡る市場の見方にも再び関心が集まっている。