円連動ステーブルコイン「JPYSC」の発行を予定するSBIグループ。写真=Startale

SBIグループは、円連動ステーブルコイン「JPYSC」を早ければ今週にも発行する計画だ。金融庁の承認を得ており、数日内に発行手続きに入る見通しだ。法人決済や大口の機関取引での利用を想定している。

ブロックチェーンメディアのThe Defiantが23日付で報じた。これによると、SBIはすでに金融庁の承認を取得しており、発行に向けた最終手続きに入るという。

予定通り発行されれば、JPYSCは日本の資金決済法の枠組みで信託型を採用する、金融機関発行の円連動ステーブルコインとして初の事例となる。SBIは2月、JPYSCについて、SBI新生信託銀行が日本の規制の下で発行する信託型ステーブルコインだと公表していた。流通はSBI VC Tradeが担い、開発はシンガポール拠点のStartaleグループと共同で進めてきた。SBIが示していた2026年第2四半期の発行期限は6月30日までとなっている。

今回のポイントは、採用する規制スキームにある。JPYSCは改正資金決済法上の「第3号電子決済手段」に分類される。関連制度は2023年6月に全面施行され、関係する施行規則も今月13日に施行された。信託型では、トークン保有者が信託受益権を持ち、準備資産はSBI新生信託銀行の分別口座で管理される。信託法に基づき、発行体や信託銀行の固有財産とは区分される仕組みだ。

この構造は、既存の円建てステーブルコインとも異なる。JPYCは2025年10月、第二種資金移動業の登録に基づく日本初の資金決済法認可の円建てステーブルコインとして立ち上がったが、国内送金や残高には100万円の上限が適用される。一方、SBIが採用する信託型の分類にはこうした上限がなく、法人の資金決済や大口の機関取引に活用しやすい。

SBIはJPYSCを、既存金融とデジタル金融をつなぐインフラと位置付けている。SBIのキタオ・ヨシタカ会長は昨年12月、このプロジェクトについて、伝統的金融と完全に統合されたデジタル金融サービスの提供を大きく加速させるとの見方を示した。Startaleのワタナベ・ソタ最高経営責任者(CEO)も、人工知能(AI)エージェント向けの決済ネットワークや、トークン化資産の流通を主要なユースケースとして挙げている。

流通インフラはすでに整っている。SBI VC Tradeは2025年3月、日本で初めて電子決済手段等取引業者として登録を完了した。今年3月にはRippleのRLUSDの取り扱いも始めており、JPYSC発行後は自社の流通チャネルを活用できる体制にある。

Startaleは3月末、SBIの5000万ドルとSonyの1300万ドルを含む、総額6300万ドルのシリーズA資金を調達した。調達資金はJPYSCと、ドル建てステーブルコイン「USDSC」の開発に振り向けた。

もっとも、JPYSCをどのブロックチェーン上で発行するかは現時点で明らかになっていない。StartaleはSonyのイーサリアムL2「Soneium」の共同開発企業でもある。さらに今年2月には、トークン化証券とステーブルコイン決済を狙う機関投資家向けL1「Stryum」も公開した。

日本の金融業界におけるステーブルコインの取り組みは、SBIにとどまらない。MUFG、みずほ、SMBCは6月10日、共同ステーブルコイン協議体を発足させ、Progmatプラットフォームを基盤に、2027年3月31日までに銀行間の実取引を始める目標を掲げた。これらもJPYSCと同じく第3号の信託型電子決済手段を前提とするが、単独企業ではなく複数銀行による共同発行スキームを採る。

日本は2022年、主要7カ国(G7)の中でいち早く包括的なステーブルコイン法制を整備した。今月13日に施行規則の整備も完了し、新たな電子決済手段の発行に必要な最後の規制要件も解消された。JPYSCは、こうした制度整備の下で進む日本のステーブルコイン商用化を占う初期事例の一つとなりそうだ。

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