GPU依存一辺倒ではないことを示した中国のスーパーコンピュータ開発。写真=Shutterstock

中国の新型スーパーコンピュータ「LineShine」が、スーパーコンピュータ性能ランキング「TOP500」で首位となった。持続倍精度性能は2.198EFlopsで、米国の「El Capitan」の1.809EFlopsを上回った。米国による対中半導体・AI技術規制が続く中、GPUを使わずCPUのみで2エクサ級を実現した点が注目されている。

6月23日付のEngadgetによると、「LineShine」は中国国家スーパーコンピュータセンターのシステムで、従来のTOP500では公開されていなかった新顔だ。TOP500は、CPUのみで達成した持続倍精度性能として初の2エクサ級システムと位置付けている。

「LineShine」は、中国が独自設計した304コアのプロセッサを中核に構築された。総コア数は約1379万、プロセッサの動作周波数は1.55GHz。上位の多くのシステムがGPUアクセラレータに大きく依存するのに対し、CPU主体で首位に立った点が特徴だ。

システム全体は独自開発のインターコネクト技術で接続されており、消費電力は約42.2メガワット、電力効率は1ワット当たり52.07ギガフロップスとされた。

今回の結果は、対中半導体規制やAIチップの輸出制限が続く中で示された点でも意義が大きい。TOP500の主催者であるジャック・ドンガラ氏は、ニューヨーク・タイムズの取材に対し、「印象的なシステムだ。GPUに依存しないシステムを開発し、我々を追い越した」と評価した。

今回の順位更新により、エクサスケールに達したスーパーコンピュータは計5台となった。1位は「LineShine」、2位は米国の「El Capitan」、3位は米オークリッジ国立研究所の「Frontier」で1.353EFlopsだった。米アルゴンヌ国立研究所の「Aurora」は1.012EFlopsで4位を維持し、独ユーリッヒ・スーパーコンピューティング・センターの「Jupiter Booster」は1EFlopsで5位に入った。

業界では今回の結果について、スーパーコンピュータ開発が必ずしもGPU中心である必要はないことを示したとの見方が出ている。TOP500も今年の上位システムについて、Intel、AMD、NVIDIAなど多様なアーキテクチャが採用されていると説明し、「リーダーシップ級コンピューティングに至る単一の支配的な技術経路は存在しない」とした。

現在は、CPU、GPU、APU、カスタムアクセラレータなど、異なる方式で次世代の超高性能コンピューティングを競う局面に入っている。

中国はこれまで、国家安全保障や技術保護を理由に、スーパーコンピュータの設計情報を対外的に公開しないケースが多かった。ただ、今回の「LineShine」は公的資金によらない形で開発されたとされ、TOP500のベンチマーク試験に提出できたという。

一方で、開発側はCPUメーカーや半導体プロセスなど一部の中核情報を明らかにしていない。それでも今回の結果は、中国がGPUなしでも世界最高水準のスーパーコンピュータを構築できることを示したとの評価につながっている。

ドイツ・ハンブルクで開催されたISC 2026に合わせて公表されたTOP500で、「LineShine」は持続倍精度性能2.198EFlopsで首位となった。今回の結果は、単なる性能競争にとどまらず、米国中心のGPUベースのスーパーコンピューティング体制への挑戦として受け止める向きもある。同時に、エクサスケール競争がカスタムプロセッサや独自設計技術を軸に、さらに多様化していることを示す事例ともいえそうだ。

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