NioのF2工場が、世界経済フォーラム(WEF)の「Lighthouse Factory」ネットワークに新たに認定された。AI、デジタルツイン、電池交換ネットワークを連携させた開発・生産の閉ループ型運用が評価され、製品投入までの期間を44%短縮し、研究開発業務の90%を自動化したという。
電気自動車メディアのCleanTechnicaが23日(現地時間)に報じた。WEFはこのほど、「Lighthouse Factory」ネットワークの最新選定結果を公表し、NioのF2工場を新たに加えた。
Lighthouse Factoryネットワークは、WEFがMcKinseyと共同で運営する製造革新の認定制度。第4次産業革命関連技術を大規模生産の現場に実装し、実際の成果を上げた工場を選定する。独立した審査と厳格な評価基準で運用されており、先進的な製造力を測る指標の一つとされている。
今回評価されたのは、Nioが構築した開発・生産の統合システムだ。電気自動車市場で競争が激しくなるなか、開発スピードの向上や多様な仕様への対応、研究開発・製造・品質部門の連携強化が課題となっている。Nioはこれに対応するため、車両データ、電池交換ネットワーク、デジタルツイン基盤をリアルタイムの閉ループ型システムとして接続した。WEFによると、この仕組みは360万通りを超える車両構成を管理できるよう設計されている。
導入効果も具体化している。Nioは同システムの活用により、製品投入までの期間を44%短縮し、研究開発業務の90%を自動化した。WEFは、電気自動車業界ではより迅速な製品開発とカスタマイズ対応に加え、研究開発・製造・品質の一体運用が求められているとし、Nioの取り組みをその実例として位置付けた。
F2工場は、全面的にデジタル化されたスマート工場として運営されている。産業向けAIアルゴリズムや基盤モデルに加え、自社開発を通じて継続的に高度化している各種の特化型AIモデルを活用している。生産現場のシナリオの約80%は、AIに基づく意思決定で支援されているという。
今回の認定は、Nioの製造競争力だけでなく、中国の電気自動車メーカーによるスマート製造戦略の進展を示す事例でもある。Lighthouse Factoryネットワークは、個別工程の最適化にとどまらず、バリューチェーン全体の連携と接続を重視している。WEFも、同ネットワークについて、デジタル技術を次世代の生産性と価値創出につなげる事例を示し、効率性、レジリエンス、持続可能性といった課題に対する製造業の対応を可視化するものだとしている。
NioのF2工場はすでに、中国工業情報化部から国家グリーン工場に認定され、中国自動車技術研究センターからは「スーパー自動車工場」の名称も付与されている。今回、Lighthouse Factoryへの認定が加わったことで、同社の生産システムは環境対応とデジタル変革の両面で評価を受けた格好だ。
工場運営面でも差別化を進めている。F2工場は設計段階から一般来訪者の受け入れを想定して構築されており、Nioは工場公開を通じて、中国の知能化製造エコシステムをより多くの人が直接体験し、理解できるようにするとしている。2018年に工場ツアーを導入して以降、Nioの2つの車両工場を訪れた来訪者は世界で約30万人に上るという。
Nioは今後も、自社の先端製造システムをLighthouse Factoryの基準に沿って高度化する方針を示している。AIと先端製造技術の融合をさらに進め、中国のスマート製造の新たな基準を打ち立てる考えだ。製品競争だけでなく、生産体制そのものを技術資産として育てる戦略が、今回の認定で改めて浮き彫りになった。