写真=Reve AI

FIFA北中米ワールドカップでは、AI関連技術の導入が一段と進み、テック業界では「AIワールドカップ」とも呼ばれている。その華やかな技術活用の裏では、試合映像を人手で分類・タグ付けし、AI学習用データを整備する労働が大会運営を下支えしている。

今大会では、センサーを内蔵したボールやリアルタイム追跡、AIによるオフサイド判定支援に加え、48の出場チーム向けにAIアシスタントも導入された。

Rest of Worldが6月23日(現地時間)に報じたところによると、こうした仕組みを支えているのが、インド、カンボジア、フィリピンなどで働くデータラベリング従事者だ。彼らは試合映像を確認し、パスやシュート、タックルといったプレーを分類・タグ付けして、AIの学習に使うデータを作成している。

サッカーでは20年ほど前からデータ分析の活用が進んできた。現在では、ほぼすべての代表チームや主要クラブが、選手獲得やトレーニング、戦術立案、負傷予防などにデータを用いている。

トロント大学メディア学部のラファエル・グロマン教授は、Rest of Worldに対し、「サッカーは現在のAIブームよりはるか以前から、こうした作業に依存してきた」と指摘した。その上で、「付加価値の高いデータ分析業務は一部の富裕国に集中する一方、データラベリングは東欧、アフリカ、南アジア、東南アジアの都市部に集積している」と述べた。

データラベリング従事者の多くは、サッカー経験者か、競技に関する知識を持つ人材だという。

Rest of Worldによると、フィリピンのリーグでプレーする選手の1人は、約1年間にわたり、ドイツのデータ分析企業Impectのマニラ法人Packing Sportsでデータラベリング業務を担ったと話した。

欧州リーグの試合を見ながら、パスやシュート、タックルなどをタグ付けする仕事で、FIFAワールドカップやUEFA欧州選手権といった主要大会の期間中は、チームやアナリスト、メディアからの需要が膨らみ、業務量も大きく増えるという。

ブラジル・リオデジャネイロでフリーランスとして試合データのタグ付けを担う労働者は、「自分が入力したデータは、実際にスポーツベッティングで使われているはずだ」と語った。

この労働者は、1試合当たり約60ユーロに交通費を加えた報酬を受け取り、ゴール、コーナーキック、カード、ペナルティーなどの主要データをリアルタイムで入力しているという。「ベッティング企業は公式記録を待たずに即座にオッズを調整する必要がある。データ送信が遅れれば、報酬の一部または全部を失う可能性がある」とも話した。

ライス大学でスポーツアナリティクスを研究するスコット・パワーズ教授は、コンピュータビジョンのアルゴリズムによって、これまでデータラベリング従事者が手作業で担ってきた仕事の一部が段階的に自動化されつつあると説明した。一方で、「生成AIがサッカー分野を革新したと示す証拠は、まだ見当たらない」と付け加えた。

今回のワールドカップの売上高は約90億ドル(約1兆3500億円)に達し、史上最も収益性の高いスポーツ大会になると見込まれている。

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