画像=Google Cloud

Googleは、Google AI Studioに無料の「Starter Tier」を導入した。決済手段や請求アカウントの登録なしでAIアプリをそのまま公開できるようにしたもので、従来必要だったGoogle Cloudプロジェクトの作成や課金設定を省き、個人のGoogleアカウントだけで利用を始められる。

この内容をGIGAZINEが6月23日付で報じた。Google AI Studioは、Geminiを活用してブラウザ上でAIアプリやプロンプトを開発・テストできるサービス。Googleは最近、自然言語のプロンプトだけでAndroidアプリを構築できる機能も追加している。今回の変更は開発機能の拡充というより、公開時のハードルになっていたGoogle Cloud設定の手間を減らす狙いが大きい。

Starter Tierを選ぶと、GoogleがバックグラウンドでGoogle Cloudプロジェクトを自動作成する。リージョンの選択やAPIの有効化、セキュリティポリシーの処理もGoogle側が担うため、利用者が自らプロジェクトを作成・設定・管理する必要はない。

Googleによると、Starter Tierは通常のGoogle Cloudプロジェクトとは異なり、提供機能を最小限に絞った設計だ。設定項目を減らすことで、初心者でもトラブルを抑えながら短時間でアプリを公開しやすくしたとしている。

公開手順も簡素化した。AI Studioで「Publish」ボタンを押すだけで公開でき、公開後はCloud RunのURLが発行される。そのURLからWebアプリとしてすぐに利用できる。

バックエンド構成も自動化する。コンピューティング基盤にはCloud Runを用い、ユーザーログインが必要な場合はFirebase Authenticationを組み込む。データ保存はFirestoreを基本とし、スキーマやジョイン、ACID準拠が必要なリレーショナルデータには「Cloud SQL for PostgreSQL」開発者エディションを利用できる。アプリの機能に応じて必要なサービスを自動的に組み合わせる仕組みだ。

無料で始められる点はGoogle Cloudの無料トライアルに似るが、条件は異なる。無料トライアルは利用期限が90日であるのに対し、Starter Tierに期限はない。一方で、利用できるリージョンやリソース量には制限があり、ほかのGoogle Cloudサービスを自由に追加することもできない。公開可能なアプリ数も最大2本までで、すでに2本を公開している場合は、既存アプリを削除するか、通常のGoogle Cloud環境にアップグレードする必要がある。

利用対象にも制限がある。現時点では個人のGoogleアカウントで利用できる一方、企業や教育機関のGoogle Workspaceアカウントでログインした場合は、組織ポリシーによってリソースの割り当てが制限される可能性がある。利用可否はAI Studioの提供地域にも左右される。

公式ドキュメントには、「有効なGoogle Cloudの請求アカウントを保有している、または過去に保有していたユーザーはStarter Tierを利用できない」と明記している。有料・無料のGoogle Workspace、Google Workspace for Education、Google for Nonprofitsのサブスクリプションにひも付くエンタープライズアカウントも対象外となる。

このためStarter Tierは、すでにGoogle Cloudを本格利用しているユーザーよりも、決済登録なしでまずAIアプリの公開を試したい個人開発者や入門者を主な対象とした仕組みといえる。アプリ数やリソースの制限が明確なだけに、本格運用では通常のGoogle Cloud環境への移行が必要になる可能性がある。

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