写真=NVIDIA。データセンター施設内の水使用削減を狙うNVIDIAの新冷却システム

NVIDIAは、AIデータセンター向けに温水を循環利用する閉鎖循環式の冷却システムを披露した。運用時に追加の給水をほぼ不要にし、施設内の水使用を実質的にゼロに近づけられるという。一方で、AIインフラ全体の水消費を抑えるには、発電や半導体製造まで含めて見る必要があるとの指摘も出ている。

米TechCrunchが22日(現地時間)に報じたところによると、NVIDIAはデータセンターの水使用を大幅に削減できる温水ベースの閉鎖循環式冷却システムを紹介した。同社は、この技術によって施設内の水使用をほぼ排除できるとしている。

NVIDIAの最高サステナビリティ責任者(CSO)、ジョシ・パーカー氏は声明で、「データセンター内部では、ほぼすべての水使用をなくすことができる」と説明した。最近のインタビューでも、データセンターの水消費問題は大筋で解決できるとの認識を示している。

新システムの中核は、一度充填した冷却水を設備の寿命にわたって循環させる閉鎖循環構造にある。冷却水は約45度でサーバーラック内に送り込まれ、サーバーの熱を吸収した後、約55度で排出される。その後、外部の放熱装置で冷却され、再び循環する仕組みだ。

このため運用時の追加給水は不要で、データセンター稼働中の水使用を事実上ゼロにできるという。NVIDIAは、気候条件が適した地域では現地での水使用を100%削減できるとしている。

エネルギー効率の面でも利点がある。比較的高温の冷却水を使うことで、外気を活用した放熱が可能になり、蒸発式冷却設備や大型ファンの使用を減らせるという。

ただし、水消費の課題は施設内だけでは完結しない。発電やチップ製造で使われる水まで含めると、データセンターの水フットプリントは施設内で直接使う水の2〜3倍に膨らむ可能性がある。この場合、NVIDIAの手法で削減できるのは、AIデータセンター全体の水消費の4分の1〜3分の1にとどまる。

とりわけ、データセンターの電源を化石燃料に依存する場合は限界がより明確になる。データセンターは大量の電力を必要とし、多くの発電所は大きな水消費源でもある。米地質調査所(USGS)によると、米国内の化石燃料発電所は1日当たり27億ガロンの水を消費している。

最近の研究では、天然ガス火力による発電では電力1キロワット時(kWh)当たり1.17リットル、石炭火力では2.2リットルの水を消費するとの結果が示された。

国際エネルギー機関(IEA)は、現在のデータセンター向け電力のおよそ半分が化石燃料由来だと分析している。水力発電も見落とせない。貯水池からの蒸発まで含めると、1kWh当たり約6.8リットルの水が使われると推計される。

これに対し、風力と太陽光の水使用量は相対的に少なく、それぞれ0.01リットル、0.03リットルにとどまる。

半導体の製造工程も大きな変数だ。AIチップの生産には超純水が必要なうえ、多様な製造プロセスでも相当量の水が使われる。

こうした構造は今後も大きくは変わらない可能性がある。IEAは、2030年までにデータセンターの電力需要を満たすため新たに必要となる電力の40%超を、天然ガスと石炭が担うとみている。データセンター内部の冷却技術が改善しても、発電と半導体製造の構造が変わらなければ、水フットプリント全体は大きく下がらない可能性がある。

このため専門家は、AI産業の水消費問題の解決には、冷却技術の革新に加え、再生可能エネルギーの拡大と半導体製造の効率改善を並行して進める必要があるとみている。

NVIDIAの今回の発表は、データセンター運用の効率改善に向けた前進といえる。ただ、AI時代の水消費問題を抜本的に解決するには、より広範なエネルギー転換が不可欠であることも浮き彫りにした。

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