米スタートアップのRobot.comが、業務用ヒューマノイドロボット市場への展開を本格化する。工場や物流センター、飲食店などの現場で反復作業を担う車輪型ヒューマノイド「R-Noid」を軸に、企業向け自動化需要の取り込みを狙う。
米Business Insiderによると、同社は22日(現地時間)、産業、外食、物流分野の顧客向けにR-Noidの展開を進める方針を明らかにした。想定する業務は、注文品の梱包、箱の積み下ろし、作業台の準備、ピッキング、折りたたみ作業、顧客案内など。反復性が高く定型化しやすい作業を対象に設計したという。
Robot.comはサンフランシスコに本社を置く。もともとはキャンパス向け配送ロボットを手がけるKiwibotとして創業し、その後社名を変更した。ここ約2年は、配送ロボット中心だった事業を、企業向けの労働自動化へと広げてきた。最高経営責任者(CEO)のフェリペ・チャベス氏は「キャンパス配送ロボットを超え、外食、物流、ヘルスケアなど幅広い産業へ展開している」と説明した。
同社は、汎用AIアシスタントや家庭向けヒューマノイドではなく、現場ですぐ使える実用型ロボットである点を強調する。チャベスCEOは「未来のロボットではなく、今日から使えるロボットに集中している」と述べた。現在は約12社の顧客に40台弱のR-Noidを配備している。
導入事例もある。ニューヨークのハーバー・リンクス・ゴルフコースでは、R-Noidが配送ロボットに食品を積み込み、スタッフによる注文梱包業務を支援している。今後は、ロボットが担える作業範囲を順次広げる方針だ。
AI機能の強化も進める。Robot.comは、ロボット向け基盤モデルを開発するPhysical Intelligenceと協業し、R-Noid専用のAIモデルを開発している。このモデルは、作業環境の認識と行動判断を担う中核ソフトウェアに当たる。
導入までの期間は比較的短い。顧客の現場を訪れて自動化可能な作業を分析したうえで、数時間から最大50時間程度の現場データを収集する。そこからAIモデルを微調整し、8〜12週間で実運用に投入できるとしている。
初期段階では遠隔操作と遠隔支援も併用する。チャベスCEOによると、初期配備時点での自律化率は約70%。完全自律化を待つのではなく、まず運用可能な水準で現場に投入し、データを蓄積しながら性能を高める戦略だ。
同社は、配送ロボット事業で蓄積した運用経験を強みとして掲げる。これまでに約500台のロボットを運用し、累計作業件数は250万件を超えた。運用、保守、遠隔監視、サービス支援の体制も整えているという。
ヒューマノイド市場では近年、車輪型ロボットのアプローチに注目が集まっている。病院向けロボットを手がけるDiligent Roboticsのほか、Sunday RoboticsやGenesis AIも同様の形態のロボットを披露している。
業界では、ヒューマノイド市場は人型ロボットの長期ビジョンよりも、特定業務を担う実用型ロボットが先行して成長する可能性が高いとの見方が出ている。
Robot.comも、既存の配送ロボットの顧客基盤と運用ノウハウを生かし、物流、外食、サービス産業の自動化需要を取り込む構えだ。長期的には人件費削減効果の提供を目指す一方、当面は企業がロボットと協働する環境に適応できるよう支援することに重点を置く。