EV普及は自動車販売だけでなく、原油需要と価格見通しにも影響を及ぼし始めている。写真=Shutterstock

Goldman Sachsは、電気自動車(EV)の普及拡大を背景に、2027年末までに世界の石油需要が日量最大32万バレル減少する可能性があるとの見通しを示した。中国を中心にEV化が進んでいることに加え、燃料価格の上昇も需要減少を早めているとみている。

ブロックチェーン系メディアのCryptopolitanによると、同社は21日付のリサーチノートで2つのシナリオを提示した。

2026年2〜5月に見られたEVシェア拡大ペースが続く「持続的加速」シナリオでは、2027年12月までに石油需要が日量32万バレル減少すると試算した。一方、地域別のEV普及率が2026年5月時点から伸びない「一時的加速」シナリオでも、同期間に日量13万バレルの減少を見込む。

最大の変数として挙げたのは中国だ。中国は直近の世界EV市場拡大分の6割超を占めたという。5月の世界の新車販売に占めるEV比率は26.1%と、3カ月前に比べて3.4ポイント上昇し、過去2番目の高水準となった。

石油需要への下押し圧力は、乗用車分野にとどまらない。Goldman Sachsのアナリストは、インド、ベトナム、中国では電動二輪車と三輪車がEV販売の大半を占めていると指摘した。これらの車種は1台当たりの燃料代替効果こそ乗用EVより小さいものの、二輪車比率の高い地域では石油需要の押し下げ効果が大きくなり得るとしている。

燃料消費の足元の動きも弱い。Goldman Sachsのアナリスト、アレクサンドラ・パウルス氏は、ホルムズ海峡周辺の供給障害や、米国とイランの戦争に伴う燃料高が、消費者のEVシフトを一段と促した可能性が高いとみている。特に中国では、ガソリン需要が弱含む一方、EVの充電量は増加しているとした。

中国の4月の小売ガソリン販売は前年同月比で20%超減少した。あわせて、製油所の稼働縮小や鉄道利用の増加も確認された。西欧でも同月の自動車燃料の小売販売量が平均8%減少した。Goldman Sachsは今月上旬の別の報告書でも、高油価を受けて小売ベースの実需が従来予想以上に急減した可能性を指摘していた。

こうした需要圧力は、原油価格見通しにも反映されている。Goldman Sachsは、2027年末のブレント原油が1バレル50ドル台半ばまで下落し得るとみる。現時点では2026年10〜12月期のブレント平均価格を1バレル90ドルと想定しているが、中国と西欧で需要低迷が続けば、約10ドル下振れする可能性があるとしている。

市場構造の変化も進んでいる。世界の上位15のEV市場のうち12市場で、2026年2〜5月に普及率が上昇した。国際エネルギー機関(IEA)は、追加の政府支援がなくても2035年には世界の新車販売の半分をEVが占めるとの見方を示している。前年時点では、世界の新車販売の4台に1台がEVだった。

Goldman Sachsは今回、EV普及が自動車販売の変化にとどまらず、原油需要と原油価格の見通しそのものを動かし始めている点を重視した。中国がEV化拡大の中心にある以上、今後の石油市場ではEV普及率と燃料価格の動向をあわせて見極める必要があるとしている。

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