AIで新卒の仕事が減るとの見方がある一方、企業の人事部門では異なる認識も広がっている。写真=Shutterstock

米企業の人事部門では、AIが新卒・初級職を減らすのではなく、新たな職務を生み出すとの見方が強まっていることが分かった。CognizantとPearsonの共同調査では、米国のHR管理職の94%が、今後5年以内にAIによって新たな初級職が創出されると予測した。

米ITメディアのTechRadarが今月22日(現地時間)に報じた。調査では、AIの普及に伴って初級職の中身そのものが変わるとの見方も鮮明になった。回答者の96%は、新卒レベルの業務が今後、AIの運用や出力結果の確認などを担う役割へ移行すると答えた。

従来のような単純な反復業務ではなく、AIシステムを扱い、その判断結果を点検する業務が中心になる可能性があるという見方だ。

こうした変化の過程では、中間管理職の役割も重くなる。回答者の9割超は、中間管理職が新たな職務設計や働き方の見直しにおいて中核的な役割を担うと見込んだ。

AIを現場業務に組み込むには、業務設計と人員配置の両面で調整が必要になるためだ。

教育ニーズはすでに拡大している。HR管理職の91%は、過去1年間で従業員のAI教育に対する需要が増えたと回答した。

特に若手層では、AIシステムを管理する役割への移行機会を求める動きが出ている。ただ、企業側の支援は追いついていない。実際にAI教育を提供している組織は54%にとどまった。

社内の人材育成体制も、AIの普及スピードに十分対応できていないようだ。回答企業の60%は、既存の学習・人材開発プログラムではAIの変化の速さに対応するのが難しいと認めた。

初級人材の採用と再教育を同時に進める必要がある一方で、既存の育成の枠組みではその移行を十分に支え切れていない実態がうかがえる。

採用基準の変化も目立つ。回答者の97%は、専攻や学位よりも、適応力、問題解決能力、人間としての判断力が重要になっていると答えた。

新卒採用では、特定分野の知識だけでは競争力を示しにくくなっており、AIと協働できる汎用的なスキルが重視されていることを意味する。

Pearsonの最高人事責任者(CHRO)、アリ・ベボ氏は、「成功する組織ほど、AIが仕事を代替すること自体に焦点を当てるのではなく、人とAIが共に働けるよう支える能力の構築に注力するだろう」と述べた。

AI導入の焦点が、人員削減から、役割の再設計と協業体制づくりへ移りつつあることを示す発言といえる。

今回の調査結果は、最近の卒業者や初級人材がAIによる雇用リスクに最も早く直面するとの見方とは異なる。ただし、企業による教育機会の提供はなお十分ではなく、新卒人材や求職者には自発的なスキル強化も求められそうだ。

企業が職務再設計と再教育の体制をどこまで迅速に整えられるかが、今後の初級人材採用市場を左右する重要な要素になりそうだ。

キーワード

#AI #人事 #新卒採用 #初級職 #Cognizant #Pearson #リスキリング
Copyright © DigitalToday. All rights reserved. Unauthorized reproduction and redistribution are prohibited.