ビットコインのマイニング。写真=Shutterstock

米暗号資産業界の主要3団体は22日、マイニングとステーキングで得た報酬を課税所得から除外する法案について、条文を修正せず現行案のまま早期に可決するよう米議会に求めた。もっとも、民主党は暗号資産への優遇につながるとして慎重姿勢を示しており、成立の行方はなお見通せない。

ブロックチェーンメディアのDecryptによると、要請を行ったのはBlockchain Association、Crypto Innovation Council、Digital Chamberの3団体。下院歳入委員会の共和・民主両党指導部に書簡を送り、法案の早期可決を働きかけた。

3団体が支持するのは「Mining and Staking Tax Clarification Act」。マイニングやステーキングによって新たに生じたデジタル資産を、受領時点では課税所得に算入しないことを柱とする。

米国では現在、納税者はマイニングで取得した暗号資産やステーキング報酬について、売却していなくても所得として申告する必要がある。業界側は、実際に処分していない資産まで課税対象となる現行ルールの見直しを求めている。

ただ、この法案は今月初めに下院歳入委員会の公聴会で議論された6本の暗号資産税制法案の中でも、特に論争を呼んでいる案件とされる。下院民主党は、株式や債券など既存の投資資産に比べて暗号資産を有利に扱うことになりかねないと警戒している。金融市場全体の資金配分に影響するとの懸念も出ている。

業界団体は書簡で、現在の草案を最終的な妥協案と位置付けた。その上で「すでに導き出された妥協案を改めて修正すれば、これまでの争点が再燃し、ようやく視野に入ってきた超党派の合意が遠のきかねない」と訴えた。

一方、民主党がこの案を実際に超党派合意案として受け入れるかは不透明だ。民主党指導部はこれに先立ち、11月の中間選挙前には暗号資産税制法案を処理しない方針を示している。

足元では、民主党が今後下院で多数派を握る可能性が高いとの見方も出ている。そうなれば、今後の暗号資産関連法案の方向性に対する影響力は一段と強まりそうだ。

Digital Chamberは今週、会員企業約10社を議会に派遣し、法案可決に向けた働きかけを進める計画だ。中間選挙前の成立可能性については、今回の面会を通じて議会側の温度感を見極めたいとしており、法案処理に向けた意思がどの程度残っているかを直接確認する考えだ。

こうした時間的制約は、上院で議論が続く「クラリティ法案」にも共通する。同法案は米証券法の枠組みを見直し、米国内の暗号資産関連活動の大半を法的に明確化する内容を含む。支持者は、8月までに成立しなければ、近い将来の法制化は難しくなる可能性があるとみている。

米議会の暗号資産税制を巡る議論は、業界の要望と政治日程が正面からぶつかる局面に入っている。マイニングとステーキング報酬への課税見直しを巡る今回の法案は、個別税制の改正にとどまらず、中間選挙前に米議会が暗号資産立法をどこまで前に進められるかを占う試金石となっている。

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