Rippleで最高技術責任者(CTO)を務めたデイビッド・シュワーツ氏が、XRPのステーキングを巡る議論で「資産管理権」を主要な論点として示した。XRP Ledger(XRPL)には現時点でネイティブのステーキング機能がなく、取引手数料も焼却される仕組みのため、報酬モデルの設計にも課題が残る。
ブロックチェーンメディアのU.Todayによると、シュワーツ氏は22日(現地時間)、XRPLでXRPをステーキングできるのかとのユーザーの質問に対し、「自分自身の銀行でいたいのか。それとも他人の銀行になることで報酬を得たいのか」と応じた。
この発言は、XRP Apex 2025のイベント動画で取り上げられた仮想的なインセンティブモデルに関する質疑が再び共有されたことで注目を集めた。当時の質問は、「XRPLでいつXRPをステーキングし、ネットワーク手数料から収益を得られるのか」というものだったが、シュワーツ氏は実装時期や実現可能性には直接触れず、まずステーキングの前提条件を問い直した形だ。
現在のXRPLは、ネイティブなステーキング機能を備えていない。今回の発言は、XRPを個人ウォレットで保有する場合と異なり、ステーキングでは資産の管理権が別の主体に移る可能性がある点を示したものとみられる。シュワーツ氏はこの表現について、それ以上の説明はしていない。
背景にあるのは、XRPLの合意形成の仕組みだ。多くのブロックチェーンでは、ステーキングはバリデーターとトークン保有者の利害をそろえる仕組みとして機能するが、XRPLはEthereumのようなプルーフ・オブ・ステーク(PoS)型ではない。
XRPLはプルーフ・オブ・オーソリティ(PoA)の合意モデルを採用し、金銭的インセンティブよりも信頼性と安定性を重視する。バリデーターも報酬獲得より、ネットワークの健全性を重視して参加する構造になっている。
こうした設計は、ネイティブなステーキング導入に必要な技術面・経済面の条件とも直結する。XRPベースのステーキングを成立させるには、まず報酬の原資と、その分配の仕組みを整える必要がある。
ただ、現状のXRPLでは取引手数料はバリデーターやトークン保有者に還元されず、焼却される。これは供給をデフレ方向に保ち、ネットワーク効率を高めるための設計とされており、手数料焼却の仕組みのままではステーキング報酬の直接的な原資を確保しにくい。
一方で、市場ではXRPを活用した収益型サービスの試みが続いている。Uphold、Flare、Doppler Finance、Axelarなどの取引所や分散型金融(DeFi)プロトコルでは、XRPベースのステーキングや収益プログラムの提供・実験が進んでいるという。
こうした動きは、XRPLにネイティブ機能を追加する流れというより、外部サービスが既存の設計の範囲内でXRPの活用手段を広げている動きといえる。
今回の発言は、XRP保有者の間で繰り返し提起されてきたステーキング需要について、単なる機能追加の可否にとどまらず、XRPLの設計思想や資産保管のあり方まで含めて検討する必要があることを改めて示した。とりわけ「いつステーキングできるのか」という問いに対し、シュワーツ氏が構造的な前提を示したことで、ネイティブステーキングを巡る議論では報酬モデルと資産管理権の問題を一体で捉える必要性が改めて浮き彫りになった。