欧州でAIインフラの拡充を進めるNVIDIA。写真=Shutterstock

NVIDIAは、欧州23カ国でAIスーパーコンピューター35基の整備を進めている。300万人を超える研究者に先端の演算基盤を提供し、基礎科学からヘルスケア、クリーンエネルギーまで幅広い分野での活用を見込む。

6月22日付のCryptopolitan報道によると、これらのAIスーパーコンピューターは大学や研究機関、政府系研究機関、AI企業の拠点などに分散配置される予定だ。

NVIDIAはこの計画を、年間ベースでは欧州史上最大規模のスーパーコンピューター拡張プロジェクトと位置付けている。整備されるインフラは、基礎科学、ヘルスケア、クリーンエネルギー、気候研究、量子コンピューティングなどで活用される見通しだ。

欧州のAIインフラにおける同社の存在感も一段と高まっている。NVIDIAによると、BlackwellとHopperは欧州AIファクトリー計画の9割超を支えているという。

また、昨年以降に欧州で配備、または導入計画が公表されたAI向け演算性能の総量は、800AIエクサフロップス規模に達した。これらは各国が進めるAIファクトリー計画の中核基盤として位置付けられている。

ジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)は、AIを新たな科学研究のツールだと強調した。フアンCEOは「欧州は数百万人の研究者の手にAIインフラを届けている」と述べ、NVIDIAのアクセラレーテッド・コンピューティングによって、複雑系シミュレーションや科学AIモデルの学習、エージェントAIのワークフロー構築が可能になるとの見方を示した。

同社は量子コンピューティング分野でも展開を広げている。オープンな量子開発プラットフォーム「CUDA-Q」を通じ、欧州の研究機関による量子・古典ハイブリッドコンピューティングの研究を支援していると明らかにした。

ロボット分野での取り組みも進む。ヒューマノイドロボット企業のAgility Roboticsは、NVIDIAの「Halos for Robotics」を初めて導入した企業となった。同プラットフォームは、ロボット向けAI演算、センサーデータ、安全システム、ソフトウェアを統合的に管理する仕組みだ。Agilityのロボットは、Amazonの物流センター、GXOの物流倉庫、Schaefflerの工場、Toyotaのカナダ生産拠点などで稼働している。

NVIDIAでロボティクス・エッジAI担当副社長を務めるディープ・タラ氏は、「フィジカルAIが工場と物流の運用を変えつつある」と述べた。その上で、人と協働する自律システムの普及には、統合的な安全体制が不可欠だと説明した。

一方、NVIDIAは中国との関係維持にも前向きな姿勢を示した。フアンCEOは同日、中国国際サプライチェーン博覧会の開幕式向けビデオメッセージで、中国を「世界有数の技術・産業拠点の一つ」と評価し、現地の産業エコシステムの重要性を強調した。

同社はこのイベントで、110社を超えるパートナーとともに、AIチップ、インフラ、モデル、アプリケーションを紹介する大規模展示も実施した。

業界では、NVIDIAがAI半導体にとどまらず、スーパーコンピューティング、量子コンピューティング、ロボット向けプラットフォームへと事業領域を広げ、グローバルAIインフラ企業としての色彩を強めているとの見方が出ている。

市場の関心は、8月に予定される決算発表にも向かう。ウォール街では、来四半期の売上高が917億ドル、1株当たり利益(EPS)が2.06ドルに達するとの予想が広がっている。

キーワード

#NVIDIA #AI #AIスーパーコンピューター #Blackwell #Hopper #量子コンピューティング #ロボティクス
Copyright © DigitalToday. All rights reserved. Unauthorized reproduction and redistribution are prohibited.