元Ethereum Foundationの研究者5人が、非営利の研究開発組織「Ethlabs」を設立した。BitmineとSharplinkの出資を受け、機関投資家のオンチェーン移行を見据えたEthereumの研究に取り組む。
コインポストによると、EthlabsはBitmineとSharplinkを主要出資者として本格始動した。
共同設立者は、アンスガル・ディートリヒス氏、バルナベ・モノ氏、キャスパー・シュバルツ=シリング氏、ジョシュ・ルドルフ氏、ジュリアン・マ氏の5人。Ethereumの主要アップグレードに関わり、ファイナリティ、スケーラビリティ、データ可用性、仮想マシン、プロトコル経済設計などの分野を手がけてきたという。
当面は、機関資金が大規模にオンチェーンへ移る際に必要となる条件整備を研究の中心に据える。優先課題として、決済の高速化、資産のネイティブ発行、堅牢なインフラを前提としたクロスチェーン移転、メインネットの処理能力拡大、ETHの貨幣的性質の研究を挙げた。
あわせて、Ethereumをステーブルコインや実物連動資産(RWA)の決済基盤として強化する方針も示した。
出資側の顔ぶれも注目される。主要出資者のBitmineとSharplinkは、上場企業の中でもETH保有量が突出する2社とされる。保有量はBitmineが567万ETH、Sharplinkが約87万6000ETHという。
投資家側は、設立の背景として機関需要の拡大を挙げる。Bitmineを率いるトム・リー氏は、Ethereumが機関投資家やAIエージェントによる採用拡大局面に入っているとして、エコシステム全体で研究と人材への投資を一段と拡大すべきだと述べた。
Sharplinkの最高経営責任者(CEO)、ジョセフ・シャロム氏も、Ethereumでは機関投資家による参入局面が始まったばかりだと指摘した。プロトコルレベルの研究を進める人材を支援することが、同社の考えを最も明確に示す方法だとしている。
今回の発足は、Ethereum Foundationの役割見直しの流れとも重なる。Ethereum Foundationは年初、検閲耐性、オープンソース、プライバシー、セキュリティなどのCROPS技術に特化した中核業務へ集中する方針を示していた。
ジョー・ルービン氏はこれに先立ち、財団の外で複数の独立組織が立ち上がる計画に言及していたとされる。
財団内外の変化も続いている。近年は共同執行ディレクター2人とプロトコルクラスター部門のリーダーが相次いで退任し、Ethereum保有者やコミュニティの間では、財団の方向性を巡る議論が続いていた。
こうした中でEthlabsは、財団外部の独立した研究拠点として、機関対応に必要なプロトコル研究を担う体制で立ち上がった点に注目が集まる。
今後の焦点は、Ethlabsが掲げた研究課題がEthereumメインネットの拡張や、機関向け決済インフラの強化に結び付くかどうかだ。とりわけ、ステーブルコインや実物連動資産(RWA)の決済需要を取り込むには、処理能力、資産発行、チェーン間移転、ETHの役割定義を並行して詰める必要がある。新組織の研究成果が、Ethereumエコシステム全体にどのような影響を及ぼすかが注目される。