レアアースを巡る供給網リスクが改めて意識されている。写真=Shutterstock

中国は、米国のレアアース企業や防衛関連企業など10社を輸出規制対象に追加し、二重用途品目の輸出を禁止した。米中の技術覇権争いが重要鉱物の供給網にまで広がるなか、AIインフラや半導体産業に欠かせないレアアースの調達への影響が懸念されている。

Cryptopolitanによると、中国商務部は22日、米企業10社を輸出規制リストに追加したと発表した。対象企業向けの二重用途品目の輸出を禁じる。

今回の措置は、従来の許可制より厳しい内容だ。中国企業は対象企業に関連品目を輸出できず、第3国企業による中国製の二重用途品目の移転も認められない。

商務部は、国家安全保障と国家利益の保護に加え、国際的な不拡散義務を履行するための措置だと説明した。

なかでも注目されるのがレアアース供給網への影響だ。対象には、米国の主要レアアース企業であるMP MaterialsとUSA Rare Earthsが含まれた。

両社は米国内でレアアースの採掘・精製や永久磁石の生産能力拡大を進めており、中国依存の引き下げを担う中核企業とみなされている。

レアアースはネオジム系永久磁石の材料として使われ、データセンターのサーバーや冷却設備、産業用ロボット、ドローン、電動モーター、防衛装備など幅広い先端分野で不可欠とされる。AIデータセンターの拡大に伴ってサーバー冷却設備や自動化機器の需要が増しており、その戦略的重要性は一段と高まっている。

一方で、中国の市場支配力はなお圧倒的だ。中国は世界のレアアース採掘量の約60%を占め、精製・加工能力では90%近くに達するとされる。

採掘よりも精製や磁石製造のほうが供給制約になりやすいため、米国が短期間で代替サプライチェーンを構築するのは容易ではないとの見方が出ている。

規制対象にはこのほか、ドローン関連のRed Cat HoldingsとTeledyne、レーダー装備のIMSAR、水中ロボティクスのZeal Robotics、防衛関連のOshkosh Defense、L3Harris Maritime Servicesなども含まれた。これらの企業はAI、センサー、ドローン、自律システムといった先端技術分野と密接に結び付いている。

中国は別途、米企業46社の製品を政府調達から除外した。Lockheed MartinやRaytheon Missiles & Defenseなどが含まれる。

ただ、中国国内で事業を運営する米資本企業は、今回の調達制限の対象外とされた。

今回の措置は、米国が最近Alibaba、Baidu、BYD、NIOなどを軍関連企業リストに追加した後に打ち出された。市場では、中国側の対応は対中技術規制への報復の色彩が強いとの見方が出ている。

代替の難しさも改めて意識されている。戦略国際問題研究所(CSIS)は4月の報告書で、中国が独自の輸出規制の枠組みを動員すれば、世界が輸出規制と経済統治を巡る軍拡競争に陥る恐れがあると警告した。

一部では、レアアースのサプライチェーンを中国国外へ完全に移すには最大20年かかる可能性があるとの分析もある。

今回の措置は、半導体だけでなく、レアアースと磁石製造能力がAI時代の戦略資産として浮上している現実を浮き彫りにした。

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