Strategyの優先株「STRC」が額面の100ドルを下回って推移し、SNSではTerraUSDのようなディペグを連想する見方が広がっている。これに対し、Benchmark-StoneXのマーク・パルマーは、両者を同列に論じるのは誤りだとするレポートを示した。STRC安は資金調達の効率を鈍らせる可能性はあるものの、事業モデルの破綻を意味するものではないという。
ブロックチェーンメディアのDecryptが22日に報じたところによると、パルマーはレポートで、STRCとテラのエコシステムを比較する見方は「根本的に見当違いだ」と指摘した。
発端となったのはSTRCの下落だ。STRCは先週、一時82.53ドル(約1万2379円)まで下げ、22日は88.65ドル(約1万3298円)前後で取引を終えた。額面100ドル(約1万5000円)に対して約11.3%低い水準となる。
こうした値動きを受け、SNSでは「10%ディペグしたステーブルコインだ」といった投稿もみられた。
ただ、パルマーはSTRCをステーブルコインとみなす前提自体を明確に否定した。STRCについて「ステーブルコインではない」とした上で、アルゴリズム型の裁定メカニズムで価格を支える設計ではなく、トークン構造そのものへの信認で維持される仕組みでもないと説明した。
TerraUSDは、現金や米国債のような確実な準備資産を持たず、LUNAとの発行・焼却メカニズムを通じてドル連動を保とうとした。だが、信認が揺らぐと連鎖的な崩壊につながった。
これに対しSTRCは、Strategyのビットコイン保有資産を背景に持つ点が大きく異なる。Strategyは22日時点で84万7363BTCを保有していると明らかにしており、当時の時価ベースでは545億ドル規模に相当するという。
もっとも、STRCがビットコイン現物と1対1で連動する商品というわけではない。あくまで、Strategy全体の資産構成と資金調達の枠組みの中で機能する商品だという位置付けだ。
STRCは発行開始から1年に満たないが、価格は需給に応じて変動してきた。100ドルを上回って推移すれば、Strategyは追加発行によって資金を調達し、その資金でビットコインを積み増しやすくなる。逆に100ドルを下回れば、資金調達の効率は低下する。
市場が警戒しているのもこの点だ。STRCは年11.5%の配当を設定しており、一部アナリストの間では、株価の持ち直しを促すため、Strategyが配当利回りの引き上げを検討する可能性があるとの見方も出ている。
また、Strategyは直近3週間連続で現金ポジションを積み増しており、優先株投資家の間では配当継続への安心材料として受け止められている。
パルマーは、STRCの軟調が優先株を通じた資金調達ペースを鈍らせる可能性は認めつつも、それをもって会社全体のモデルが崩れたとみるのは行き過ぎだと指摘した。「優先株による資金調達エンジンの効率低下と、会社全体のモデル崩壊を同一視するべきではない」との見方を示した。
株価の軟調さは普通株にも及んでいる。Strategyの普通株は22日、前日比2.8%安の109ドル(約1万6350円)で取引を終え、5営業日続落となった。
一方、BenchmarkはStrategyの目標株価を570ドル(約8万5500円)に据え置いた。これは昨年10月に付けた数年来高値の457ドル(約6万8550円)を上回る水準だ。
今回の論点は、STRCの下落そのものよりも、その商品性をどう解釈するかにある。STRCが100ドルを下回る状態が続けば、Strategyの追加的なビットコイン購入余力に制約が生じる可能性はある。ただ、Benchmark-StoneXは、それをTerraUSDのようなドル連動の崩壊と同列に扱うのは適切ではないと結論付けている。