予測市場の取引規模は急拡大している。写真=Shutterstock

将来の出来事を売買の対象とする予測市場が急拡大している。一方で、利益は一部の専業トレーダーに集中し、多くの個人参加者は損失を抱える構図が鮮明になってきた。

The Blockのデータによると、4月時点のPolymarketとKalshiの取引規模は合計242億ドルと、前年の18億ドルから大きく伸びた。両社は、ユーザーが持つ知識を生かして収益機会を得られると訴求し、利用を拡大してきた。Kalshiは5月のシリーズFで10億ドルを調達し、企業価値は220億ドルと評価された。

ただ、一見すると参加者に平等な機会が開かれているように見えるこの市場でも、実際に利益を上げられる利用者は限られる。市場の果実の大半を少数の「プロ」が押さえる構図に近い。

ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)がトレーダーへの取材とデータ分析に基づいて報じたところによると、Polymarketでは利益の67%をわずか0.1%の口座が獲得していた。2000口座未満が約5億ドル近い利益を上げた計算で、利用者の70%以上は損失となった。

平均的な利用者の損失額は1〜100ドルにとどまった一方、下位10%の損失額は1人当たり平均4000ドルに達したという。

競合のKalshiでも状況は似ている。4月のデータでは、利益を上げた利用者1人に対し、損失を出した利用者は2.9人だった。

Kalshiは、プラットフォームの成長に伴ってこうした比率は変化するとの見方を示しているが、実際に是正が進むかは不透明だ。

予測市場が公平に見えても、実際には少数に利益が偏りやすいのには理由がある。WSJによると、数十人規模の従業員を抱え、数百万ドルを投じてスポーツや金融の専門データを購入し、取引アルゴリズムを運用する企業が予測市場に参入している。

こうした専業トレーダーは、一般の利用者よりはるかに速く価格変動を見極め、リスク管理にも長ける。利用者の多くを占める学生や愛好家、少額の個人参加者にとっては、対抗が難しい相手だ。

一般の利用者のなかには、公開情報や直感を頼りに感情的な売買をするケースも少なくない。

WSJは、専門家が規模の優位を生かして高頻度かつ戦略的に取引し、一般投資家にはまれな集中力と規律を武器に、わずかな価格変動からも利益を積み上げていると伝えた。

元プロポーカープレーヤーで統計学者のマイケル・ボス氏は、「仕組みとして、一般投資家にはまったく勝ち目がない」と語った。

特定の人物が公の場でどの発言をするかを予想して売買する「メンション・マーケット」も、一般利用者が大きな損失を出しやすい分野として挙げられる。

WSJによると、メンション・マーケットは見込みほど当たらないことが多い。一方、専業トレーダーは、予測が難しいうえ、数百万ドルを投じてデータを集めても安定した優位性を築けないとして参入を避けているという。

予測市場は、政治ベッティングの拡大とともに2010年代から広がり始めたが、長らく大衆化には至らなかった。転機となったのは2024年の米大統領選で、これをきっかけに一気に注目を集めた。

従来型のギャンブルでは、ブックメーカーがオッズを設定し、賭けを受け付け、勝者に配当を支払う。これに対し予測市場には胴元がなく、ユーザー同士が取引する仕組みだ。

プラットフォーム側は取引ごとに手数料を徴収する。手数料は契約価格や市場の種類などに応じて変動する。

相場操縦やインサイダー取引の疑いが取り沙汰されるなかでも、支持者は予測市場を単なるギャンブルではなく、大衆の知恵を通じて将来の出来事をより正確に織り込む仕組みだと位置付ける。Kalshiについては、経済動向の予測に有効なツールだとする米連邦準備制度理事会(FRB)の研究もある。

Kalshiの広報担当、エリザベス・ダイアナ氏は「予測市場に限らず、多くの金融市場でも同様の富の集中は起きている」としたうえで、「Kalshiで利益を上げるユーザーは、デイトレードや従来のスポーツベッティングサイトより多い」と主張した。

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