XRP Ledger(XRPL)が、量子耐性の実装やオンチェーン融資機能の導入、セキュリティ体制の強化、自動マーケットメーカー(AMM)の刷新を軸に、基盤整備を進めている。量子耐性については2028年を目標時期としている。
ブロックチェーンメディアのU.Todayが21日(現地時間)に報じた。XRPLのバリデーターで、XRP Ledger Foundationのコミュニティディレクターを務めるVetは、X(旧Twitter)への投稿で、これらの動きを「XRPの基盤構築」と位置付けた。
Vetが挙げた主な取り組みは5つある。量子耐性のロードマップ、ネイティブのオンチェーン融資プロトコル、AI支援のRed Teamによるセキュリティ検証、形式検証、AMM v2だ。新機能の追加そのものよりも、ネットワークの土台づくりに重点を置く姿勢が鮮明になっている。
量子耐性を巡っては、Rippleが4月に段階的なロードマップを公表し、量子コンピューティング時代を見据えたXRPLの対応方針を示した。実装目標は2028年としている。
オンチェーン融資についても、標準機能としての採用に向けた手続きが進んでいる。1月に公開されたXRPL 3.1.0には融資プロトコルが盛り込まれ、現在は投票が行われている。このプロトコルは、XRPL上でローンを組成できるよう設計されたもので、融資仲介者はSingle Asset Vaultに集まった資金を活用し、満期付きの無担保ローンを提供できる。
この融資の仕組みに対する検証も並行して進む。Common PrefixはRippleXと協力し、融資プロトコルの中核要素をLean4で形式検証すると明らかにした。融資機能の追加に伴い、コードの安全性と設計の妥当性を高める狙いがある。
セキュリティ面では、Rippleが3月、XRPLの脆弱性を継続的に調査するAI支援の専任Red Teamを運用すると発表した。GitHub上ではxrpld関連の課題287件が公開されており、このうち未解決が231件、解決済みが49件のほか、分類の異なる項目も含まれていた。Rippleは、これらの多くがコード品質の改善や多層防御の強化に関するもので、システムの安定性や可用性、利用者資産の安全性には影響していないと説明している。
こうした取り組みはソフトウェア更新にも反映されている。xrpld 3.1.3はセキュリティ修正と不具合修正を中心としたリリースで、Red Teamが発見した問題20件を取り込んだ。今週公開されたxrpld 3.2.0は保守性の向上と整理を主眼とする更新で、2年以上有効化されていた改定案も削除した。
流動性設計の見直しも進む。XRP Ledger Foundationは5月、AMM v2のドラフト標準を公開した。内容にはステーブルスワップと集中流動性プールが含まれる。狙いは資本効率の改善で、従来型のAMMよりも流動性配置の自由度を高めることで、取引コストや資金効率の改善につなげる考えだ。
一連の動きからは、XRPLが単発の機能追加よりも、インフラとしての基盤強化を優先していることがうかがえる。量子耐性のロードマップは中長期のセキュリティ課題への備えであり、融資プロトコルと形式検証は金融機能の拡張に対応した安全対策といえる。
AI支援のRed Team、セキュリティ重視のアップデート、AMM v2の整備まで含め、XRPLは性能向上だけでなく、構造的な安定性の確保とユースケース拡大を並行して進める段階に入った。
VetはXへの投稿で、次のようにまとめた。
「XRPの基盤がリアルタイムで構築されているのを見逃した人へ。
- 量子耐性ロードマップ
- ネイティブのオンチェーン融資プロトコル
- Red TeamによるAIを活用したXRP Ledgerの強化
- 高度なセキュリティを支える形式検証
- 資本効率の高い流動性提供とスワップを実現するAMM v2」