General Motors(GM)が、EVで進めてきたAndroid Auto非対応の方針を、将来的に全車種へ広げる方向で検討していることが分かった。スマートフォン連携を軸としてきた車載インフォテインメントが、自動車メーカー主導のソフトウェア基盤へ移行しつつあることを示す動きといえる。
米ITメディアEngadgetが20日(米国時間)に報じた。GMはEVでAndroid Autoのサポートを打ち切った後、同様の方針を全車両に広げる可能性があるという。
これまで車載インフォテインメントでは、スマートフォンと車両を接続し、ナビゲーションや音楽、メッセージ機能などを利用する形が事実上の標準だった。代表例がGoogleのAndroid AutoとAppleのCarPlayで、自動車メーカーが車両側のハードウェアを提供し、利用者は使い慣れたスマートフォン環境を車載ディスプレイ上で利用するのが一般的だった。
ただ、足元では自動車メーカーの戦略に変化が出ている。GMはAndroid Autoの代替として、自社の車載ソフトウェア基盤の強化を進めており、特にGoogleの生成AI「Gemini」を活用した対話型インターフェースの導入を計画している。狙いは、車内のデジタル体験の主導権をスマートフォン側ではなく、メーカー側のシステムに移すことにあるとみられる。
実際、EV専業メーカーの一部は当初からスマートフォンのミラーリング機能に依存していない。TeslaとRivianはAndroid AutoとApple CarPlayをサポートせず、独自のソフトウェア環境を構築してきた。車両を一つのデジタルプラットフォームとして捉え、ナビやエンターテインメント、車両制御までを自社エコシステム内で完結させている。
もっとも、市場全体が同じ方向に進んでいるわけではない。2026年モデルの新車の多くは、引き続きAndroid AutoとAppleのCarPlayをサポートする見通しだ。一方で、車載ソフトの重要性が高まるなか、自社プラットフォーム構築の動きが今後さらに広がるかどうかが注目される。
とりわけ生成AIは、新たな競争要因として存在感を増している。GMがGeminiベースの車載インターフェース導入を目指すのも、単なるスマートフォン連携の代替にとどまらず、車内体験そのものを再設計する狙いがあるためだとの見方がある。今後は音楽再生やナビに加え、自然言語で車両と対話し、ドライバーに合わせたサービスを提供できるかどうかが競争力を左右する可能性がある。
一方で、消費者の反発を招く可能性もある。多くのドライバーにとって、車を買い替えても使い慣れたスマートフォン環境をそのまま利用できることは、Android AutoやApple CarPlayの大きな利点だ。自動車メーカーが自社プラットフォームへの移行を加速すれば、使い勝手とプラットフォーム主導権の間で摩擦が強まるとの指摘も出そうだ。
今後の焦点は、他の大手自動車メーカーがGMと同様の判断に踏み切るかどうかにある。現時点では2026年モデルの多くがAndroid Autoを維持する見込みだが、業界全体が自社インフォテインメントとAI基盤の車載ソフトへ軸足を移せば、スマートフォン連携は補完機能へ後退する可能性もある。車内のデジタル主導権を誰が握るのかが、次の競争軸になりそうだ。