Cardanoの創業者チャールズ・ホスキンソン氏が、SpaceXの宇宙飛行を活用してCardanoとプライバシー重視のサイドチェーン「Midnight」をPRする構想を検討していたものの、費用面と市場環境が見合わず見送っていたことが分かった。
6月20日付のブロックチェーンメディアDecryptによると、ホスキンソン氏は最近のAMA(Ask Me Anything)配信で、コミュニティ内で取り沙汰されていたSpaceXとの協業構想に言及した。氏は「契約が破談になったわけではない。費用と市場環境が合わず、協議が止まった」と説明した。
構想は、一般的なマーケティング提携にとどまらない体験型の大型PR施策だった。SpaceXの宇宙飛行計画を活用し、Cardano(ADA)とMidnight(NIGHT)のエコシステム参加者を巻き込む内容を想定していたという。
具体的には、ADAとNIGHTの保有者に宇宙飛行参加者の選考へ応募できる機会を提供し、選ばれた参加者がホスキンソン氏とともに専門的な飛行訓練を受けたうえで、実際の宇宙飛行ミッションに参加する案も含まれていた。
この計画では、宇宙インフラ企業VAST Spaceとの連携可能性も検討していた。VAST Spaceは、Rippleの共同創業者として知られるジェド・マッケイレブ氏が設立した企業だ。
ホスキンソン氏によると、協議はかなり具体的な段階まで進んでいた。SpaceXのホーソーン施設の訪問に加え、技術面の打ち合わせや費用面の調整、Dragonカプセルの利用条件を巡る協議も行っていたという。
ただ、最終的にはプロジェクト費用と市況が折り合わず、実行には至らなかった。氏は「ミスで機会を逃したのではないか」との見方を否定し、「取引が決裂したのではなく、協議を進める中で市場環境が変わり、結果として成立しなかった」と述べた。
計画を棚上げした背景には、暗号資産市場の低迷があったという。構想自体が強気相場を前提としており、民間宇宙飛行を活用した大規模プロモーションには相応のコストがかかるため、それを支えられる市場環境が必要だったとしている。
また、ADAの値動きも重要な判断材料だった。Cardanoは2024年、政治・規制環境の改善期待を背景に一時1.20ドルを上回ったが、その後は上昇基調が鈍化し、下落傾向が続いたと説明した。当時の市況では、数千万ドル規模に達する可能性のある宇宙飛行プロジェクトを正当化するのは難しかったという。
今回の発言は、Cardanoエコシステム内で検討されていた異例のPR構想の実態を示した点で注目される。トークン保有者を実際の宇宙飛行プログラムに参加させる案は高い訴求力を持つ一方、市場サイクルとコスト負担の影響を大きく受けることも改めて浮き彫りになった。
もっとも、ホスキンソン氏はこのアイデアを完全に撤回したわけではないとしている。市場環境が改善すれば再検討する可能性があるとしており、CardanoとMidnightのコミュニティを宇宙へ送る構想は当面保留となるものの、強気相場が戻れば再び俎上に載る余地は残っている。