日本政府は、2040年までにフィジカルAI分野へ総額10兆5000億円を投じる方針だ。少子高齢化に伴う労働力不足を見据え、ヒューマノイドロボットと自動化を成長戦略の柱として本格的に育成する。
Cryptopolitanが20日付で報じたところによると、投資には官民資金を充て、日本政府が指定した17の戦略産業を重点的に支援する計画だ。
今回の計画は、日本がフィジカルAIとヒューマノイドロティクスを重点分野に位置付けて以降、初の大規模な実行策となる。日本の内閣は昨年12月、国家AI基本計画を決定し、フィジカルAIとヒューマノイドロボットを国家戦略に正式に盛り込んだ。これを受け、研究開発投資は企業単位の取り組みから、国主導の枠組みへと広がりつつある。
関連政策も並行して進む。日本AI戦略本部は19日、AI関連法の継続的な見直し体制を整備するための素案を公表した。16日には日本銀行が政策金利を1%に引き上げ、同日、経済産業省と環境省は電気自動車(EV)バッテリーの回収義務制度の導入検討に着手した。
銀行業界は18日、人工知能を悪用したサイバー攻撃のリスクが高まっていると警告した。市場では、日本がAI投資、産業政策、金融政策、環境規制、サイバーセキュリティを一体で進め、国家競争力の強化につなげようとしているとの見方が広がっている。
巨額投資の背景には、深刻な人口減少がある。日本では今後20年間で生産年齢人口が約1500万人減少する見通しだ。生産年齢人口比率は足元で総人口の59.6%にとどまる。
2000年以降、人口減少が続くなかで、政府は自動化とロボット技術を企業任せではなく、国家課題として位置付けてきた。日本はすでに世界有数のロボット産業基盤を持つ。国際ロボット連盟(IFR)によると、日本の製造業では従業員1万人当たり419台の産業用ロボットが導入されている。
産業用ロボットの設置台数は約43万5000台に達する。昨年は世界の産業用ロボット輸出の38%を日本が占め、中国、米国、ドイツなど主要国に16万台超を供給した。輸出額は約125億ドルだった。
内需も拡大している。2025年第1四半期の日本のロボット受注額は3245億円と、前年同期比14.2%増となり、過去最高を記録した。自動車産業では昨年、産業用ロボット約1万3000台が新たに設置され、2020年以降で最も高い水準となった。
市場予測も拡大基調を示す。調査会社は、世界のフィジカルAI市場が2025年の50億ドルから2034年には828億ドルへ拡大すると見込む。日本市場も同期間に3億730万ドルから68億ドルへ成長する見通しだ。
AI業界でもロボティクス市場の拡大に注目が集まる。NVIDIAのジェンスン・フアンCEOはCES 2026で、ロボティクス産業について「ChatGPTの瞬間が今来た」と述べた。IDCは、2026年の世界のヒューマノイドロボット出荷台数が5万台を超え、前年比178%増になると予測している。
こうした流れのなか、日本の大型投資計画は単なる技術育成にとどまらず、労働力減少に対応する産業再編策としての側面が強い。今後の焦点は、17の戦略産業への資金配分と、国主導の投資が半導体、ロボット、自動化設備の拡大につながるかどうかに移る。