米国では、暗号資産の利用経験がある成人の割合が共和党支持層で民主党支持層を上回った。トランプ大統領の親暗号資産路線に加え、業界団体による選挙資金の投入も拡大しており、暗号資産市場と米政治の結び付きが一段と強まっている。
ブロックチェーンメディアのCryptopolitanが6月21日(現地時間)に伝えたところによると、米調査機関Pew Research Centerが1月下旬に成人8512人を対象に実施した調査では、共和党支持層の22%が暗号資産への「投資・取引・利用」の経験があると答えた。民主党支持層では17%だった。
今回の調査は、暗号資産の利用が近年、共和党支持層で相対的に広がっていることを示している。Pew Research Centerによれば、2021年までは民主党系と共和党系の回答者の間で大きな差はなかったが、その後は共和党寄りの回答者の利用経験率が16%から22%へ上昇し、民主党支持層との差が開いた。
背景として指摘されているのが、ドナルド・トランプ大統領の姿勢転換だ。トランプ氏は2019年時点では暗号資産について「ファンではない」と述べ、規制が不十分で不法行為に悪用される恐れがあると批判していた。
その後、同氏は立場を大きく転換した。2022年には初の非代替性トークン(NFT)コレクションを発売したほか、トランプ一族も追加のNFTプロジェクトや暗号資産プラットフォーム「World Liberty Financial」、ミームコイン「TRUMP」「MELANIA」などを相次いで展開し、関連事業を広げてきた。
政権の政策運営も親暗号資産路線を鮮明にしている。トランプ政権は米国を「世界の暗号資産首都」にする目標を掲げ、暗号資産企業の金融サービスへのアクセス改善を後押しする政策も進めている。
もっとも、暗号資産の利用拡大は政治的な志向だけでは説明できない。市場調査会社Morning Consultの調査では、暗号資産投資家の約74%を男性が占めた。
特に45歳未満の男性では、暗号資産の利用率が2022年の38%から2026年には42%へ上昇した。一方、女性は同期間に13%から16%にとどまった。
人種別でも差がみられた。アジア系米国人の成人では約25%が暗号資産の利用経験があると回答し、最も高かった。黒人とヒスパニックの成人もこれに近い水準だった。
白人の成人は2021年の13%から足元では18%に上昇し、黒人やヒスパニックの成人と同水準になったという。
政治面では、暗号資産業界による選挙資金の投入も拡大している。業界が支援する政治活動委員会(PAC)「Fairshake」と関連団体は、親暗号資産派とされる共和党の下院議員候補バリー・ムーア氏を支援するため、アラバマ州の予備選向け広告に約980万ドルを投じた。
郵送費などを含む総支出は1210万ドルに達した。Fairshakeと関連団体は、2026年5月時点で約1億5000万ドルの選挙資金を確保したと伝えられている。
一方、すべての選挙で狙い通りの結果が出ているわけではない。イリノイ州では、Fairshakeの関連団体が民主党上院候補ジュリアナ・ストラットン氏の当選阻止を狙い、約900万ドルを投じたが、同氏は3月の民主党予備選を制した。
米国では、暗号資産の利用層が共和党支持層に近づくのと並行して、業界の政治関与も拡大している。今後の暗号資産規制や産業育成策は、政党政治とより密接に連動する可能性が高いとの見方が強まっている。