Strategyのマイケル・セイラー会長は21日、量子コンピュータによる脅威を巡ってビットコインコミュニティ内で議論が続く中、内部対立よりも結束を優先し、普及拡大の機会に目を向けるべきだと訴えた。
ブロックチェーンメディアのU.Todayによると、セイラー氏は、ビットコインが世界的な普及の次の段階に向かう局面にあるとして、コミュニティを分断する批判ではなく、より大きな成長機会に注力すべきだとの考えを示した。
同氏は、ビットコイン保有者の間では、中核的な価値観や哲学、起源を含む重要な論点の大半で実質的に一致があると指摘。「ビットコイン支持者は、重要な99%で一致している。残る1%で私たちが分断されるべきではない」と述べた。
さらに、「世界の資本のほとんどは、まだビットコインの通貨ネットワークに入っていない」とした上で、「その機会は論争より大きい」と強調した。
こうした発言の背景には、ビットコインのエコシステム全体で続く「量子コンピュータ問題」を巡る議論がある。セイラー氏は、こうした論点の検討自体は必要だとしつつも、それがビットコインのより大きな目標を見えにくくしてはならないとの立場を示した。
コミュニティ内では、量子コンピュータがビットコインのセキュリティに及ぼし得る影響や、移行計画のあり方を巡って見解が分かれている。
論争の中心にあるのは、量子コンピュータが暗号の安全性をどこまで脅かし得るかという点だ。暗号研究者の間でも見方は割れており、3月にビットコインコミュニティの関心を集めたGoogle Quantum AIの研究では、十分に高性能な量子コンピュータがあれば、露出した公開鍵から約9分で秘密鍵を導き出せる可能性が示された。
その後の議論は、公開鍵が露出したアドレスに保管されている約690万BTCと、ビットコインにポスト量子時代を見据えた移行計画が存在しない点に集中している。関心は単なる技術的懸念にとどまらず、既存保有者の資産をどう安全に移すかという実務的な課題にも広がっている。
対応策の1つとして取り上げられているのが、開発者ジェイムソン・ロップ氏らが提案したBIP-361だ。所定の移行期限後も、保有者が鍵を露出させることなく、量子耐性を備えた証明方式で所有権を示せるようにする案とされる。
また、Paradigmのダン・ロビンソン氏が提案したPACTも議論の対象となっている。保有者が現時点で非公開の記録にタイムスタンプを残し、その記録に基づいて後日資金を移転できるよう設計された方式だという。
量子コンピュータ対応を巡る議論は今後も続く見通しだ。そうした中で、ビットコイン陣営がどのように合意形成を進め、普及拡大の勢いを維持できるかが次の焦点になりそうだ。