Strategyの優先株「STRC」が額面100ドルを大きく下回って下落し、同社のビットコイン買い増しペースに影響が及んでいる。STRCはビットコイン購入資金の主要な調達手段とされてきたが、足元ではその持続性を巡る議論が強まっている。
Cointelegraphが6月21日付で報じたところによると、STRCは額面100ドルに対して約13%安い水準まで下落した。市場では、Strategyの資金調達モデルに対する懸念が広がっている。
STRCは2025年7月に導入された優先株で、Strategyがビットコイン購入資金を確保するための主要手段の1つだ。配当率を機動的に調整しながら株価を100ドル前後に維持し、調達した資金をビットコインの買い増しに充てる仕組みとなっている。年率換算の配当利回りは現在11.5%とされている。
ただ、STRCは6月19日に一時82.53ドルまで下落し、終値も88.59ドルだった。額面割れが進んだことで、市場価格での追加発行による資金調達効率の低下が意識される展開となった。
こうした動きは、ビットコインの買い増しペースにも表れている。Strategyは6月8日終了週に1億100万ドルで1550BTC、6月15日終了週に1億ドルで1587BTCをそれぞれ買い増しし、保有量を84万6842BTCに増やした。ただ、2026年初めと比べると購入規模は大きく縮小している。
同社は6月上旬、配当支払い義務に対応するため32BTCを売却した。金額は約250万ドルで、保有全体から見れば小規模だが、STRCによる調達効率が低下した場合、現金支出負担がビットコイン売却につながり得ることを示す事例として受け止められた。
市場の評価は割れている。ビットコイン懐疑派のピーター・シフ氏は、STRCについて「典型的な中央集権型ポンジだ」と批判してきた。新株発行で継続的に資金を調達するか、義務履行のためにビットコインを売却する必要がある構造だと指摘している。
暗号資産トレーダーのドンアルト氏も、STRCが額面を割り込んで急落した後、なぜこうした商品がポンジのように取引されるのかと疑問を呈した。
一方、Strategy側は最近の見解として、こうした批判には直接答えていない。そのうえで、ビットコイン中心の財務戦略に裏付けられた優先株商品だとの立場を維持している。対応策として、STRCの配当支払い頻度は月1回から月2回に変更した。
STRCの急落については、企業のファンダメンタルズ悪化ではなく、レバレッジ取引の清算が下げを増幅したとの見方もある。Smarter Web Companyでビットコイン戦略責任者を務めるジェシ・マイヤーズ氏は6月19日の投稿で、「Strategyは問題ない」と主張した。現状が続けばSTRCの配当は32年間支払えるほか、ビットコイン価格が年2%程度上昇すれば、実質的に無期限で維持できるとしている。
同氏は、STRCが長期間にわたり99〜100ドル近辺で推移していたため、一部投資家が95ドルを下回らないとの前提で高いレバレッジをかけていた可能性があると指摘した。下落局面では、マージンコールと強制清算が重なり、下げ幅を拡大させたとの見方だ。
一方、株価下落によって利回り面の魅力が高まったとみる声もある。スコット・メルカー氏は、STRCの配当が市場価格ではなく100ドルの清算優先額を基準に算出されると指摘した。配当利回り11.5%を前提とすると、90ドルで購入した場合の利回りは約12.8%、85ドルなら約13.5%になるという。
次の焦点は、6月30日に予定されているSTRCの次回配当率の公表だ。Strategyはビットコイン購入資金をSTRCのみに依存しているわけではなく、MSTR株の発行や手元資金の活用も可能だ。ただ、STRCが額面を回復できなければ、当面のビットコイン買い増しペースは従来より低い水準にとどまる可能性がある。