米連邦準備制度理事会(Fed)のKevin Warsh議長が就任後初めて臨んだ連邦公開市場委員会(FOMC)では、政策金利の据え置きと物価安定の重視が打ち出された。これを受け、政策運営を前提とするドルと、供給量が固定されたビットコインの構造的な違いに改めて注目が集まっている。
ブロックチェーンメディアのBitcoin Magazineが19日(現地時間)に報じた。Warsh議長は今回の会合で政策金利を据え置く一方、物価安定を政策の優先課題に位置付けた。従来よりも先行ガイダンスを抑え、経済指標に基づく判断を重視する姿勢も示したという。
今回のFOMCで焦点となったのは、新議長のタカ派姿勢そのものよりも、ドルが引き続き政策運営を必要とする通貨だという点だ。Fedは物価と雇用の均衡を図るため、金利や通貨供給を調整する。法定通貨制度は、最終的に人為的な判断と政策介入を前提として成り立っていることを改めて示した形だ。
実際、ドルの供給量は歴史的に拡大基調で推移してきた。米国が1971年に金本位制を離脱して以降、ドルの購買力は大きく低下し、当時の1ドルは現在では約12セント相当の購買力にとどまるという。M2も数千億ドル規模から22兆ドル超へと増加しており、通貨供給の拡大は既存保有者の購買力希薄化につながり得る。
これに対し、ビットコインの総発行量は2100万枚に固定されている。新規供給は21万ブロックごと、概ね4年ごとに半減し、2140年ごろには追加発行がほぼゼロになる見通しだ。個人や委員会、政府の判断で総供給量を増やせない点が、法定通貨との最大の違いといえる。
Warsh議長が物価安定を重視する姿勢を鮮明にしたことで、この対比はいっそう際立った。たとえFed議長がインフレ抑制に動いたとしても、ドルはなお政策判断によって供給が左右される通貨である一方、ビットコインは政策的に希薄化できない固定供給の資産として位置付けられる。
この違いは、企業の資金運用にも直結する。多額の現金性資産を保有する企業は、資金を銀行預金や短期金融商品で保有する間にも、インフレによる購買力低下のリスクを避けにくい。Warsh議長が物価安定を強調しても、当局が必要と判断すれば供給を増やし得るという法定通貨の構造自体は変わらない。
そのため、最高財務責任者(CFO)が数億~数十億ドル規模の現金性資産を、政策運営に左右される通貨で持ち続けるべきかを見直す必要があるとの見方も出ている。ビットコインは、プロトコルレベルで希少性が担保された資産として、代替先の一つに挙げられている。
とりわけ、四半期ごとの業績だけでなく長期的な購買力の維持を重視する企業では、財務準備金の一部を長期の価値保存手段に振り向ける戦略の重要性が高まっている。Warsh議長にとって初のFOMCは、ドルの政策運営体制とビットコインの固定供給構造を改めて対比させる機会になった。