写真=Toss

Tossの金融経営研究所であるToss Insightは22日、AIが金融の意思決定のあり方を変えつつあると分析した報告書を公表した。AIは業務効率化にとどまらず、評価・判断・実行の各プロセスに関与しており、金融アクセスの拡大と公正性の確保をどう両立するかが新たな課題になっていると指摘した。

同社が公表したのは、「AIファイナンス研究シリーズ」の第1弾となる報告書「AI、金融の歴史を描き直す」。

報告書では、AIファイナンスの概念と過去25年間の研究動向を整理した。金融を、不確実な将来を評価し、融資や投資の意思決定を行い、それを実際の取引やサービスとして実行する一連のプロセスと定義。その各段階でAIが活用されることで生じる変化を、AIファイナンスと位置付けた。

Toss Insightは、AIと金融の融合によって、金融の意思決定の重心が、人が設計したルールベースから、データを学習したモデルやアルゴリズムへ移りつつあると分析した。融資審査や投資判断のような領域では、判断基準そのものの形成過程にも影響が及ぶとしている。一方で、最終的な責任や承認権限は、なお人や機関にあるとの見方を示した。

調査では、ScopusやWeb of Scienceなどの主要な学術データベースを活用し、AIと金融に関する文献を検討した。研究チームは、過去約25年に公表された約2万5000件の関連文献のうち、主要文献34編を軸に研究の流れを整理した。

また、AIが金融判断に深く関与するほど、説明可能性や公正性、人による監督の重要性が高まると指摘した。AIの判断を説明できるか、特定の集団に不利な結果をもたらさないか、人が十分に監督できているかが、金融分野でAIを活用するうえで不可欠な条件になるとしている。

具体例としては、モバイル向け融資審査に使われるAIベースの信用評価を挙げた。一方で、保有データ量の差による競争格差や、特定集団に不利益が生じた場合の公正性を巡る論争が課題になり得るとも説明した。

Toss Insightデジタル金融研究チームの研究委員、ノ・ユチョル氏は「AIと金融の結合は、特定技術の導入にとどまらず、金融の意思決定を形作る仕組みにまで影響を及ぼしている」とコメント。「本報告書がAIファイナンスを理解する出発点になれば」と述べた。

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