写真=Reve AI

企業の間で、生成AIツールの利用拡大に伴うコスト管理を強化する動きが広がっている。利用上限の設定や低コストモデルへの誘導で支出を抑える一方、OpenAIとAnthropicは韓国市場での展開を加速している。

AIツールを従業員向けに広く導入した後、コスト負担の増加を受けて利用制限に踏み切る企業が増えている。Amazon、Walmart、Cisco、Uber、Metaなどは、利用量の上限設定や過剰利用の抑制、より低価格なモデルへの誘導を通じて、AI関連支出の統制を進めている。

背景には、AIの用途がチャットボットから、より複雑な業務を自律的に処理するAIエージェントへ広がっていることがある。こうした活用の拡大に伴い、必要な計算資源も大幅に増加しており、企業はAIエージェントの適用先が投資に見合うかどうかを見極める局面に入っている。

コスト負担の拡大を受け、企業の関心は低価格AIモデルの活用にも向かっている。中国製AIモデルがトークン使用量で米国製モデルを上回ったとする調査も出ている。Anthropicは、Claude Agent SDKの料金体系変更を実施直前に保留し、SDK利用者は従来のClaudeサブスクリプションに適用されていた利用上限を引き続き利用できるようになった。Databricksも、企業のAIコスト管理を支援する「Unity AI Gateway」を公開した。

一方、OpenAIとAnthropicは韓国市場での事業拡大を進めている。Anthropicはソウルにオフィスを開設し、「信頼できるAI」を前面に企業向け営業を強化する方針を示した。

両社は、韓国のスタートアップエコシステムとの接点拡大にも力を入れている。韓国のスタートアップが両社のAIモデルを活用して新たなビジネス事例を生み出しているだけでなく、韓国企業からのフィードバックがモデル改善にも有意義な役割を果たしていると説明した。OpenAIは、ChatGPTの広告パイロットの対象を韓国にも広げる。

OpenAIはまた、科学技術情報通信部のAI安全研究所と、高リスク分野における先端AIモデルの安全性確保に向けたMOUを締結した。

このほか、AIを巡る企業の動きも相次いでいる。Amazon Web Services(AWS)は、AIエージェント向けの新サービス3種を発表した。中核となる「AWS Context」は、既存データから自動的にナレッジグラフを構築し、エージェントの利用パターンを学習して改善につなげるサービスだ。AWSはあわせてDevOpsエージェントにリリース管理機能も追加した。AIを活用したコーディングが広がる中、レビューやテスト、配布工程が新たなボトルネックになっていることを踏まえた対応としている。

データ管理企業のCohesityは、Claude、Gemini、ChatGPTから直接データ保護ソリューションを管理できる「Cohesity Maestro」の提供を開始した。

M&Aの動きも出ている。Salesforceは、AI顧客エージェントのスタートアップFinを36億ドルで買収することで合意した。買収を通じて企業顧客のAI導入を加速し、自社のエージェンティックAIプラットフォーム「Agentforce」を強化する。DeepLは、米サンフランシスコ拠点のリアルタイム超低遅延オーディオプラットフォームMixhaloのチームと技術を買収する。

製品・サービス面では、AdobeがAIアシスタント「Firefly」の機能を強化し、Premiere、Illustrator、InDesign、Frame.ioに拡大した。Disneyは、AIベースのテレビ広告制作ツールのベータ版を7月に投入する予定だ。

韓国企業の動きも目立つ。Upstageは、モデル、エージェント、ポータルをつなぐフルスタックAIの構想を公開した。ポータル「Daum」の運営会社AXZと、汎用エージェントプラットフォーム「Timely」を傘下に編入し、垂直統合を進めたことが柱だという。

AI・データ専門企業UCLIXは、企業の生成AI導入を支援する「Google Gemini Enterprise Experience Center」を開設した。Douzone Bizonは、税法支援に続く新サービスとして、法令や判例に加え、企業固有の社内規定を基に労務課題へ個別に回答するAIエージェント「ONE AI労務アシスタント」を発売した。LG AI ResearchはD&D Pharmatechと、次世代ペプチド新薬の共同開発事業に関する本契約を締結した。疾病原因物質の構造を分析するAIモデルを活用し、従来手法では見つけにくかった適切なペプチド配列を設計して新薬候補を発掘する。Daol TSは、リアルタイムAIオーケストレーションプラットフォームを手がけるVantiqと協業し、リアルタイムのイベントベースAI市場の開拓に乗り出す。Hancomは、ポーランドの国家公認R&Dセンター7bulls.comとMOUを締結し、次世代ソブリン・エージェンティックOSの欧州向けローカライズに向けた共同研究開発を進める。

半導体分野では、GoogleとAmazonが自社クラウド向けにとどまらず、外部企業向けのAIチップ販売を加速している点にも注目が集まる。Googleは、自社AIチップTPU(Tensor Processing Unit)のエコシステム拡大に向け、購入企業への資金支援策も打ち出した。世界最大のクラウド事業者であるAmazonも、Trainium AIチップを外部のデータセンター運営会社に販売するための交渉を進めている。

企業ユーザーが社内で最初に使うAIエージェントの座を狙い、有力エンタープライズテック企業の競争も激化している。AIモデル開発企業がモデル提供にとどまらずAIアプリケーションへと領域を急速に広げる中、従来のパートナー企業との関係に微妙な変化が生じる場面も増えており、足元ではAnthropicの動きがその象徴的な事例として受け止められている。

キーワード

#AI #AIコスト #AIエージェント #OpenAI #Anthropic #AWS #Salesforce #Google
Copyright © DigitalToday. All rights reserved. Unauthorized reproduction and redistribution are prohibited.