画像はイメージ=ChatGPTで生成

政府が家計向け融資規制を強化するなか、貸出比較・仲介を主力としてきた中小フィンテック各社に逆風が強まっている。規制強化で金融機関の貸出余力が縮小すれば、プラットフォーム経由の仲介収益も影響を受けかねないためだ。各社は貸出仲介偏重の事業構造を見直し、データやAI、B2Bサービスを軸とした新たな収益源の開拓を急いでいる。

金融業界によれば、Woori Bankは12日から、KakaoPay、Naver Pay、Finda、Toss、BankSaladなどの貸出比較プラットフォーム経由による新規の信用貸出と借り換え融資の受け付けを中断した。家計向け融資管理の強化に対応した措置としている。

庶民向け金融商品は対象外とされたが、プラットフォーム側から見れば、取扱商品の縮小と仲介機会の減少が同時に進む格好だ。

貸出比較プラットフォームは、金融機関の商品を利用者につなぎ、融資実行に応じて手数料を受け取るモデルで成り立つ。融資規制の強化は金融機関の貸出余力を抑制し、結果としてプラットフォーム経由の実行額にも影響を及ぼす。

決済、広告、証券など複数の収益源を持つ大手プラットフォームと比べ、貸出仲介への依存度が高い企業ほど打撃を受けやすい構図にある。

こうした環境変化を受け、フィンテック各社は貸出仲介への依存を下げるため、データやAI、法人向けサービスへと事業領域を広げる動きを加速させている。

Findaはその代表例だ。同社は貯蓄銀行の買収推進と法人向けデータサービスの拡大を軸に、事業構造の転換を進めている。

Findaによると、同社は現在Daewon Savings Bankの買収を進めている。買収が完了すれば、単なる比較・仲介プラットフォームにとどまらず、貯蓄銀行ライセンスを活用した金融サービス拡大の基盤を確保できる見通しだ。下半期には金融当局の認可手続きを経て、買収後の営業戦略などを具体化する計画としている。

また、FindaはUpstageと共同で、金融AIエージェントプラットフォームの構築にも着手した。Findaが金融データや専門家による監修、コンプライアンス面の助言を担い、Upstageは大規模言語モデル「Sola」を基盤とする金融特化型AIモデルを開発する。

同社は、貯蓄銀行の買収とあわせ、AIエージェントを非対面サービスの中核に据える考えだ。

BankSaladは、金融マイデータを健康データや保険領域へ広げている。現在はAIベースの健康マイデータサービスや、AIによる保険保障分析サービスを提供している。

今後はAI資産管理サービス「AIトッピング+」(仮称)を通じて、消費、支出、投資の分析機能も提供する予定だ。金融資産管理にとどまらず、健康・保険情報を組み合わせることで、利用者との接点拡大と保険仲介収益の拡大を狙う。

医療マイデータ事業への参入も検討しており、医療データを連携した個別最適型のヘルスケアサービス提供を見込んでいる。

PFCTは、消費者向けオンライン投資連携金融事業で蓄積した信用評価のノウハウを、金融機関向けのAIリスク管理ソリューションへと広げてきた。

同社の「Airpack」は、代替データを活用した信用評価、融資戦略の策定、運用モニタリングなどを支援するB2Bソリューションだ。PFCTはベトナムに続き、オーストラリアの金融機関Finance OneともAirpackの供給契約を結んでおり、海外展開を拡大している。今後も同分野に注力する方針という。

このように各社の新規事業は、消費者向け金融商品との接点で蓄積したデータや顧客基盤を、法人向けソリューション、ライセンス型金融サービス、ヘルスケアへと広げる方向にある。貸出仲介に偏った収益構造を薄め、既存サービスを起点に新たな成長基盤を築けるかが今後の焦点となる。

業界関係者は「貸出仲介だけでは成長余地が限られる可能性があり、単一サービスに依存せず複数の事業ポートフォリオを組む動きが続いている」とした上で、「データと技術を基盤に、金融消費者の利便性を広げる事業モデルはさらに多様化していくだろう」と話した。

キーワード

#フィンテック #家計向け融資 #貸出仲介 #AI #B2B #マイデータ
Copyright © DigitalToday. All rights reserved. Unauthorized reproduction and redistribution are prohibited.