画像=ChatGPTで生成したイメージ

人工知能(AI)の活用がゲーム開発全般に広がっている。開発効率の向上で参入ハードルは下がる一方、AI利用が明らかになるたびにユーザーの反発が起きる例もあり、開示や検収、信頼確保が新たな課題として浮上している。

米ITメディアのEngadgetはこのほど、Eurogamerの報道を引用し、ゲームデータベースサイトSteamDBの集計として、Steam Next Fest参加作8700本のうち1704本が生成AI使用タグを付けていたと伝えた。全体の19.5%に当たり、新作の約5本に1本がAIを活用している計算になる。

Steam Next Festは発売予定タイトルの体験版を公開するイベントだ。正式リリース前の段階でも、AI活用が広く浸透している実態がうかがえる。SteamDBによると、Steam内でAIコンテンツ使用を表示した発売済みタイトルは、2024年の2185本から2025年には4710本へと倍増。今年も6月3日時点で3200本を超えた。

◆開発効率化を背景に、韓国大手でも全社導入

AI活用が急速に広がる背景には、開発費の上昇と制作期間の長期化がある。グラフィックス、翻訳、シナリオ、QA、ライブ運営など工程が複雑化する中、反復作業の削減や初期成果物の作成迅速化への需要が高まっている。特にインディーや中小の開発会社では、限られた人員でプロトタイプやコンテンツを作る必要があり、AI導入の動機が大きい。

韓国ゲーム業界でも同様の流れが進む。韓国コンテンツ振興院が4月に公表した「2025年第4四半期および年間コンテンツ産業動向分析報告書」によると、韓国のゲーム会社における生成AI活用率は70%で、コンテンツ産業全体平均の32.1%を大きく上回った。AI導入企業のうち49.6%は全社レベルで活用しており、導入分野ではコンテンツ制作が67.2%で最も多かった。

大手各社もAIを業務効率化ツールとして本格導入している。Nexonは全社員にAnthropicの大規模言語モデル(LLM)「Claude」のアカウントを配布し、自社AIインフラ「Monolake」を構築した。Netmarbleはコード生成や社内ナレッジ検索、QA自動化などでAIエージェントを全社員向けに展開している。Kraftonは社内AIシステム「KRIS」を運用しており、17日には「PUBG: BATTLEGROUNDS」でAIの相棒キャラクターを導入した新モード「Ally Duo」のベータサービスを公開した。AI活用が社内業務の補助にとどまらず、ユーザーが直接触れるコンテンツへ広がった事例といえる。

もっとも、開発のハードルが下がっても、ヒット作品を生み出す難しさまで下がるわけではない。AIは画像やテキスト、コードのたたき台を短時間で作成できるが、ゲームの面白さや完成度、ユーザーの反応を判断することはできない。NexonはNDC 26(Nexon Developer Conference)で、AIは世界観の草案作成やクエスト設計では効率を発揮した一方、ユーモアや感情表現など創造的判断が求められる領域では限界が明確だったと説明した。Nexon Koreaの共同代表、カン・デヒョン氏は「AIは開発効率を高めているが、同じツールが誰にでも与えられる以上、実装力そのものは決定的な差別化要因になりにくい」と述べた。

◆焦点はAI活用そのものから開示と検収へ

AI活用の拡大に伴い、ユーザーの信頼をどう確保するかも重要な論点になっている。Valveは2024年、SteamにおけるAI関連ルールを改定し、生成AIの利用を容認する一方で、開発会社に使用事実の開示を求めた。ただ、開発効率化のためのツール利用は開示義務の対象外とされている。このため、実際のAI活用範囲はSteam上のタグ集計より広い可能性がある。

課題は、開発補助と最終コンテンツの境界が必ずしも明確ではない点だ。Pearl Abyssの「Crimson Desert」では、発売後、初期開発段階でテスト用に制作した一部のAIアセットが検収で除外されず、最終ビルドに含まれていたとの疑惑が持ち上がった。Pearl Abyssは謝罪したうえで関連リソースを全面的に差し替え、事態の収拾を図ったため、論争は長期化しなかった。

Nexon子会社のEmbark Studiosが開発した「ARC Raiders」では、音声制作にTTS(テキスト読み上げ)技術を用いていたことが明らかになり、声優の仕事を代替する可能性を懸念する声が上がった。その後、一部のAI音声セリフは実際の俳優による録音に差し替えられたと伝えられている。いずれの事例も、AI使用そのものへの拒否感に加え、活用範囲が十分に開示されていなかったことが、ユーザーの不信感を強めた点で共通している。

韓国でも、AIコンテンツの表示ルールを巡る議論が本格化している。政府はAI基本法施行令の改正案を通じて、生成AIコンテンツの表示基準を具体化する方針で、7月の発表を控える。業界からは、単純な業務補助に使ったAIと、ユーザーが直接接するコンテンツに含まれるAIを分けて開示する基準が必要だとの声が出ている。

雇用不安への懸念も根強い。民主労総・化学繊維食品労組IT委員会が公表したアンケートによると、韓国のゲーム会社8社の社員1078人のうち、AI導入で雇用不安を感じると答えた人は77.3%に達した。

業界では、AI不使用へ回帰するのは現実的ではないとの見方が強い。一方で、AIの生成結果をそのままゲームに組み込むケースと、社内の生産性向上ツールとして使うケースは切り分けて考えるべきだという指摘もある。今後は、AIを使ったかどうか以上に、どこまで使ったのか、どのように検収したのかをどれだけ透明に説明できるかが、競争力を左右する要素になりそうだ。

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