欧州委員会は、暗号資産規制の包括枠組み「MiCA」の見直しに向けた意見募集を進めている。議論の中心となっているのは、ユーロ建てステーブルコインの競争力強化と、分散型金融(DeFi)に対する規制の明確化だ。
Cointelegraphが20日(現地時間)に報じたところによると、業界では「MiCA 2.0」を巡る議論の中で、ステーブルコイン規制の再設計やDeFiの適用範囲をどう定義するかに注目が集まっている。
EUは5月、暗号資産・ブロックチェーン産業に関する意見募集を開始した。今回の手続きは、MiCAの今後の制度見直しや追加立法を視野に入れたものだ。MiCAは2024年12月30日に全面適用され、2025年初めには最初のライセンスが発給された。
Coinbaseの欧州政策責任者を務めるケイティ・ハリス氏は、MiCAについて、デジタル資産規制の初期のグローバル標準を形作り、EUに先行優位をもたらしたと評価した。一方で、その競争力を次の段階でも維持するには、制度の補完が必要だとの見方を示した。
今回の見直し議論で、最も扱いが難しい分野の1つとされているのがステーブルコインだ。Notabeneの規制・コンプライアンス責任者、カタリナ・ベロソ氏は、関連する意見募集の項目が最も多く、政治的にも最もデリケートな領域だと指摘した。ステーブルコインを取引手段として捉えるのか、小売決済や機関間決済のインフラとして捉えるのかによって、規制の重点も変わり得るという。
Coinbaseは、MiCA 2.0をユーロ建てステーブルコインの競争力を高める方向で調整すべきだと主張している。ハリス氏は、準備資産やインセンティブ設計、複数発行体モデルに関するルールの見直しが必要だと説明した。高格付け国債など高品質資産の保有比率を高めれば、安全性を損なうことなくリスクを抑えられるとの考えも示した。
また、現行ルールでは電子マネートークンの発行者による利息提供が禁じられていることから、キャッシュバックやロイヤルティプログラムといった非利息型のインセンティブは認めるべきだと訴えた。
DeFiに関する規定も、主要な見直し対象に挙がっている。現行のMiCAは、仲介者を介さず、完全に分散化された形で運営される暗号資産サービス提供者を適用対象外としている。ただ、ベロソ氏は、分散化は単純に白黒で割り切れる概念ではないと指摘。規制当局は、プロトコルの支配権やガバナンス権限、管理者キーの有無、フロントエンドの統制、収益の帰属、アップグレードの可能性、識別可能な個人の影響力などを踏まえて判断すべきだとした。
暗号資産サービス提供者が顧客のDeFiプラットフォーム利用を仲介する場合、どこまで責任を負うべきかも論点になっている。法律事務所Taylor Wessingのミロスラブ・ジュリッチ氏は、多くの事業者がすでに顧客をDeFiプラットフォームへ接続していると説明。今後は、接続先に対するデューデリジェンス義務や、認証済みプラットフォームに限って接続を認める案などが検討対象になり得ると述べた。
予測市場も、今回の意見募集の対象に含まれた。現時点でEUには、これを包括的に扱う単一の規制枠組みがなく、一部の加盟国では予測市場が禁止されている。欧州委員会は、予測市場が消費者に経済的便益をもたらすかどうかに加え、MiCAと金融商品市場指令のどちらの規制枠組みに属するべきかについても意見を募っている。
意見募集は8月31日に締め切られる予定だが、Cointelegraphは、制度見直し全体のプロセスには数年を要する可能性があると伝えている。