Bitcoinのレイヤー2プロジェクト「Botanix」が運営終了を発表した。背景には、Bitcoinをプログラマブルな資産として実際の金融取引に広げようとする試みが、現時点では一般ユーザーの需要に十分合致していないとの判断がある。一方で、業界関係者からは、今回の撤退がBitcoin活用の可能性そのものを否定するものではないとの見方も出ている。
Botanixは、運営終了にあたり「現在の市場環境とタイミングでは成立しなかった」と説明した。
CoinDeskの最近の報道によると、Botanixは、Bitcoinをプログラマブルで金融活動に組み込まれた資産へと発展させる取り組みについて、「いまの一般ユーザーが求める水準には達していない」との結論に至ったという。
DeFiLlamaによれば、Ethereumの預かり資産総額(TVL)は約390億ドル(約5兆9000億円)。これに対し、BitcoinのオンチェーンDeFiの規模は50億ドル(約7500億円)未満にとどまる。Bitcoinの時価総額がEthereumの4〜5倍に達することを踏まえると、DeFi活用では大きな開きがある。
個別プロジェクトを見ても規模は限定的だ。最も古いBitcoin向けスマートコントラクト基盤の1つであるRootstockの預かり資産は約1億100万ドル(約152億円)。新興のBitcoinゼロ知識ロールアップ「Sitreia」のステーブルコイン時価総額も約2300万ドル(約35億円)にとどまっている。
それでも、業界の開発者はBotanixの撤退をもってBitcoinユーティリティの終焉とみるべきではないと主張する。ステーキングプロジェクト「Babylon」の共同創業者デイビッド・チェ氏は、多くのBitcoinレイヤー2について「まったく新しい経済圏をゼロから立ち上げようとしたことが問題だった」と指摘した。
Babylonは、Bitcoin専用の新たなエコシステムを構築するのではなく、BitcoinをEthereumのDeFiのような既存の流動性市場へ接続するアプローチを選んだという。チェ氏は「Ethereum最大のDeFiプロトコルであるAaveがBitcoinを取り込みつつある」と述べた。
同氏はまた、WBTCやCoinbaseのcbBTCといったラップドBitcoinについて、Bitcoinを預け入れる代わりに合成トークンを受け取る仕組みだと説明したうえで、多くの保有者はその過程でBitcoinの所有権や管理権限を手放すことに慎重だと指摘した。
Sitreiaの開発元Chainway Labsの共同創業者兼CEO、オルクン・マヒル・クルチ氏は、「立ち上げ直後からSolanaのようなことをしようとするのは無理がある」との見方を示した。Bitcoinレイヤー2は、汎用ブロックチェーンを標榜するよりも、Bitcoinのセキュリティや決済システムでなければ実現しにくいプロダクトに注力すべきだと述べた。
Rootstock LabsのCEO、ディエゴ・グティエレズ・サルディバル氏は、Botanixの閉鎖について、「ブロックチェーンのエコシステム構築は、技術課題を解決する作業というより、新しい都市を根付かせるようなものだという教訓を残した」と評価した。さらに「投機的な要素が薄れるほど、生産的な活用は増える」とし、「いまは1年前よりBitcoin担保ローンを巡る議論が活発になっている」と付け加えた。