Windows 11で開発が進むゲーム向け機能「Xboxモード」で、メモリ使用量の削減効果が確認された一方、ゲーム性能の改善は限定的にとどまった。比較テストでは通常のデスクトップ環境とフレームレートに大きな差は見られず、Microsoftの最適化戦略はなお途上にあることが浮き彫りになった。
TechRadarが6月17日付で報じたところによると、最近行われた比較テストでは、Windows 11の標準的なデスクトップ環境とXboxモードの間で、ゲーム性能に実質的な差はほとんど確認されなかった。
Xboxモードは、MicrosoftがWindows 11向けに開発しているゲーム向けインターフェースだ。PCでも家庭用ゲーム機に近い操作感やユーザー体験を提供することを狙っており、Windows 11をよりゲーム利用に最適化する取り組みの中核機能と位置付けられている。
テストはIT系YouTubeチャンネル「Linus Tech Tips」が、同一仕様のPC2台を使って実施した。比較対象は通常のWindows 11デスクトップ環境とXboxモード。
結果は事前の期待ほどではなかった。「Forza Horizon 5」を1080p、最高画質、アップスケーリング無効の条件で動作させたところ、両環境のフレームレートはほぼ同水準だった。1440pでも明確な差は見られず、「Cyberpunk 2077」や「Doom: The Dark Ages」でも同様の傾向が確認された。数値上の差が出た場面はあったものの、体感差は乏しかったという。
一方で、メモリ使用量には差が出た。Xboxモードは通常のデスクトップ環境より少ないRAMで動作した。ただ、その削減効果がそのままフレームレートの改善や体感性能の向上には結び付かなかった。今回のテストからは、Xboxモードがシステムリソースの効率化には一定の効果を示したものの、現時点ではゲーマーが実感できる性能向上までは実現していないことがうかがえる。
Microsoftにとっては厳しい結果といえる。Windows 11はPCゲーム市場で事実上の標準OSの地位を維持しているが、足元ではValveのSteamOSとの比較が増え、最適化を巡る競争圧力が強まっている。
SteamOSはゲーム実行に特化したLinuxベースのOSで、利用環境によってはWindows 11より高い性能や効率的なメモリ管理を実現するとの評価がある。Windows 11に含まれる各種標準アプリやバックグラウンドサービスについては、以前からゲーマーの間で不要なリソース消費要因として指摘されてきた。
また、Xboxモード自体がまだ限定的な提供段階にある点にも留意が必要だ。現時点では誰でも容易に利用できる機能ではなく、一部環境でのみアクセス可能となっている。TechRadarは今回の結果について、「Xboxモードの最適化はまだ完了していないように見える」と評している。
今後の焦点は、Microsoftが実際の性能向上につなげられるかどうかだ。業界では、今後のアップデートを通じてバックグラウンドプロセスをさらに削減し、システムリソースをゲーム側に重点配分する方向へ改良が進むかに関心が集まっている。
もう1つの注目点は、SteamOSを軸としたLinuxゲーム環境の拡大だ。最近はLinuxベースOSのゲーム互換性と性能が急速に向上しており、特にアンチチート対応の課題が解消されれば、より多くのユーザーがSteamOSへ移行する可能性があるとの見方も出ている。
業界では、MicrosoftがXboxモードの最適化と利用しやすさの改善を急がなければ、PCゲームプラットフォーム競争でValveの攻勢を一段と受ける可能性があるとみられている。もっとも、今回の結果は特定環境で行われた単一のベンチマークテストに基づくものであり、ハードウェア構成やゲームタイトルによっては異なる結果となる余地もある。