地球外文明の存在可能性と、実際に接触できる可能性は別問題だとする見方が示された。写真=Shutterstock

地球外文明が存在していたとしても、地球を訪れていないのは不思議ではない――。その理由として、宇宙の距離、移動に必要な膨大なエネルギー、地球環境そのものの危険性という3つの物理的制約があるとの見方を、米ニューサウスウェールズ大学シドニー・キャンパスで科学コミュニケーションと宇宙生物学を研究するキャロル・オリバー教授が示した。GIGAZINEが19日、報じた。

オリバー教授がまず挙げたのは、宇宙があまりにも広大だという点だ。太陽に最も近い恒星であるプロキシマ・ケンタウリは、地球から約41兆km離れており、約4.3光年に相当する。仮に光の速度で移動できたとしても、到達には4年以上かかる距離だ。

現行技術では、その隔たりはさらに大きい。GIGAZINEによると、最速の宇宙探査機として挙げられるParker Solar Probeの最高速度は秒速191kmで、光速の0.064%にとどまる。この速度では、プロキシマ・ケンタウリに到達するまで約6700年を要する計算になる。

仮に地球外文明が人類と同じ時期に宇宙開発を始めていたとしても、地球に到達するまでには数千年単位の時間が必要になり得る、というのが同教授の見立てだ。

こうした説明は、「地球外文明が存在する可能性は高そうなのに、なぜ痕跡やメッセージが見つからないのか」というフェルミのパラドックスとも重なる。

一方で、人類が宇宙に向けて電波を発し始めたのは1901年頃とされる。つまり、その信号が到達している範囲はまだ120光年程度にすぎず、天の川銀河全体から見れば約0.000002%にとどまる。オリバー教授は、この範囲の狭さを踏まえれば、いまだ応答がないこと自体は不自然ではないと指摘した。

第2の理由は、恒星間移動に必要なエネルギーの大きさだ。宇宙船は高速になるほど、より多くのエネルギーを必要とする。

同教授は、仮に地球よりはるかに進んだ文明が光速に近い移動手段を開発していたとしても、光速で飛行する宇宙船には「無限のエネルギー」が必要となり、実現は不可能だと説明した。

たとえ技術的に移動が可能だったとしても、実際に訪れる動機があるかは別問題だ。高度に発達した文明が、莫大なエネルギーと時間を費やして、技術水準の低い地球まで来るのかという疑問も残る。移動コストが大きいほど、訪問の動機は弱まる可能性がある。

第3の理由として挙げたのが、地球環境の危険性だ。地球の生命は数億年にわたって、この環境の中で進化してきた。

人間を含む多くの生命に不可欠な酸素でさえ、反応性が高く、腐食性の強い気体だ。地球に適応していない地球外生命にとっては、有害になり得る。地球が生命に優しい惑星だという認識が、そのまま外部の存在にも当てはまるとは限らないというわけだ。

地球外知的生命体の探査は現在も続いている。1960年以降、研究者は電波天文学を活用し、探査能力を高めてきた。代表的な取り組みとして、米カリフォルニアのSETI Instituteや、オックスフォード大学を基盤とするBreakthrough Listenが挙げられる。

ただ、人類が実際に観測を続けてきた期間は、138億年に及ぶ宇宙の歴史と比べれば、わずか約100年にすぎない。オリバー教授は、これほど短い期間で知的生命体を発見できる可能性は極めて低いとみている。

それでも、探査を続ける必要性は変わらないという。同教授は1959年の論文の一節を引用し、「成功確率を見積もるのは難しいが、探さなければその確率はゼロになる」と述べた。地球外文明の不在を断定する前に、まずは現在の技術的限界と観測範囲を見極めるべきだ、という問題意識を示した。

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