暗号資産業界の低迷が、これまで以上に深刻さを増しているとの見方が出ている。
ブロックチェーン専門メディアのU.Todayが17日(現地時間)に報じたところによると、Zcash共同創業者でブロックチェーン企業StarkWareのCEO、エリ・ベンサソン氏は、業界内でスタートアップの閉鎖や予算縮小が過去最悪水準で広がっていると指摘した。
ベンサソン氏は、今回の危機は過去の下落局面とは性格が異なると説明した。2013年から暗号資産業界に関わってきた経験を踏まえ、以前であれば体力の弱いプロジェクトでも長期低迷の中で一定期間は持ちこたえられたが、足元では状況が大きく変わっているという。
現在はスタートアップが急速に資金を消耗し、最終的に破綻するか、事業停止に追い込まれるケースが相次いでいるとした。
こうした資金難は、有力企業にも波及している。StarkWareも数カ月前に予算縮小を実施したという。
同氏は、製品やチームの競争力を備えた企業であっても、資金余力の不足から閉鎖に追い込まれていると説明した。単に脆弱な事業が整理される段階を超え、本来であれば生き残れたはずのチームまで市場から退場を余儀なくされているとの認識を示した。
また、市場環境の変化はスタートアップのリストラにとどまらないと指摘した。最近まで期待を集めていた伝統的金融の大口投資家も暗号資産市場への関心を弱めており、この流れは少なくとも米国の中間選挙前まで続くと見通した。
民主党が多数議席を確保した場合、主要投資家は一段と慎重になる可能性があるとも述べた。
一方で、ベンサソン氏はこうした資金流出を否定的にだけ捉えているわけではない。暗号資産の本質は既存の銀行システムの新たなインフラになることではなく、金融イノベーションの自由を広げることにあるとし、強い規制の下にある伝統的金融とは方向性が異なると説明した。
その上で、足元の流れは長期的に見れば、暗号資産が本来の方向性を取り戻す契機になり得るとの見方を示した。
業界内部の姿勢の変化にも言及した。ベンサソン氏は、弱気相場のたびに「暗号資産は終わった」との見方が繰り返されてきたとした上で、「忍耐がない」と語った。
さらに、大型ファンドの影響力が弱まる中、開発者は次の技術的飛躍に向けた新たな基盤を探らざるを得ない状況にあると分析した。業界内で新たな潮流は生まれつつあるものの、次の相場過熱はAIや法人向けブロックチェーン製品が起点にはならないとの見方も示した。
今回の発言は、単なる相場低迷ではなく、その質の変化に焦点を当てたものといえる。資金力の乏しい初期チームだけでなく、競争力のあるプロジェクトにも生存圧力が及び、伝統的金融からの資金も慎重姿勢を強めているためだ。
そのため、今後の暗号資産市場を左右するのは価格反発の有無だけではなく、開発エコシステムがどのような新たな支持基盤を確保できるかになりそうだ。
ベンサソン氏は、2013年から業界に関わってきた立場から、機関投資家の採用と関心は少なくとも米国の中間選挙までは低下するとみている。選挙が近づく中、特に民主党に有利な流れが強まれば、その傾向はさらに強まる可能性があるとした。