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OpenAIのサム・アルトマンCEOは、AIが雇用に与える影響について、従来より慎重な見方を示した。AIによる雇用代替は当初懸念したほど進んでおらず、業界で一部取り沙汰されるような「雇用の大混乱」は起きないとの認識を明らかにした。

TechRadarやロイターなどによると、アルトマン氏は5月、オーストラリア・シドニーで開かれたCommonwealth Bank of Australiaのイベントにオンラインで登壇し、AIによる雇用への影響についてこれまでの見方を見直したと語った。

同氏は「私が間違っていてうれしい」としたうえで、「この時点では、事務系ホワイトカラー職の雇用がもっと大きく減っていると思っていたが、実際にはそうならなかった」と述べた。あわせて、「なぜそうならなかったのか、今は以前より理解できる」と語り、自身の直感が外れたことを認めた。

認識を改めるきっかけの一つとして挙げたのが、コミュニケーション業務でAIを使った経験だ。Slackのメッセージや一部のメール返信を「サムのAI」に任せたものの、ほどなく試用をやめたという。

理由は、単に返信の品質だけではなかった。人と直接やり取りする業務そのものをAIに委ねたくなかったためだ。仕事を個別のタスクとして見れば自動化は容易に見えるが、実際の現場では信頼関係や判断、責任が一体となって機能しているとの考えを示した。

一方で、AIが労働市場に影響を与えないとはみていない。OpenAIは高性能なモデルの投入を続けており、企業側もそれを業務にどう生かすかを模索しているという。

ただ、変化のかたちは大規模な雇用喪失ではなく、職務の一部が自動化される方向に近いとの見方だ。

アルトマン氏は「良い意味でも悪い意味でも、雇用市場は私たちが考えていたものとはかなり異なる姿になる可能性が高い」と述べ、「業界の一部が語るような『雇用大混乱』は起きないように思う」と語った。AIを巡る議論では雇用が単純化して語られがちだが、実際の組織運営はそれよりはるかに複雑だという。

こうした発言は、AIが研究や企業プロジェクト全般にすでに影響を及ぼしている一方で、労働市場では直ちに大きな衝撃が表れていない現状とも重なる。多くの組織では依然として、意思決定や対人関係の管理、問題発生時の責任主体として人が必要とされているためだ。

このため、AI導入を巡る次の焦点は、全面的な代替ではなく部分的な自動化に移る可能性がある。企業がどの業務をAIに委ね、どの領域を人中心で維持するのか。その線引きを現場でどう進めるかが、今後の注目点になりそうだ。

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