AnthropicのAIコーディング支援ツール「Claude Code」が、開発者だけでなく経営、金融、法務など非開発職にも広がっていることが分かった。AIがコード生成やソフトウェア操作を担う能力を高める中、ソフトウェア開発関連の作業が特定職種にとどまらず、幅広い業務に浸透しつつある。
6月17日(現地時間)にGigazineが報じたところによると、Anthropicは2025年10月から2026年4月までの約23万5000人による約40万件のClaude Code利用セッションを分析した研究結果を公表した。分析には、個人情報を保護しながら実際の言語モデル利用パターンを解析できる自動研究ツール「Cleo」を用いた。
Anthropicは、コーディングエージェントの利用が急拡大していると説明した。コーディングエージェントが関与したGitHubプロジェクトの比率は、2025年後半から2026年初めにかけて2倍超に増えたという。2026年6月時点のClaude Code利用時間は、週平均20時間だった。
職種別では、全セッションの約70%で利用者の職業を推定できた。最多はコンピュータ・数学関連で、ビジネス・金融がこれに続いた。芸術・デザイン・メディア、経営、生命科学・物理科学・社会科学の利用も一定の比率を占めた。非ソフトウェア職では、経営、営業、法務での増加が目立った。
利用目的にも変化がみられた。全セッションに占めるコード修正は26%、コード作成は25%だった。依然として過半は従来型のコーディング作業だったが、ソフトウェア操作が17%、文書・プレゼンテーション作成が10%を占め、用途の広がりも確認された。
特に、2025年10月に全体の33%を占めていたコード修正は、2026年4月には19%まで低下した。一方で、ソフトウェア操作、データ分析、文書作成関連の比率は継続的に上昇した。同じ期間に、平均セッションの推定される経済価値も27%高まった。
Anthropicは、AIのコード生成能力が向上しても専門性の重要性は残ると分析した。研究チームは、AIにどのような確認を指示したか、AI出力をどの程度修正したかといった要素を基に、利用者の熟練度を5段階に分けて比較した。
その結果、初心者のセッションでは、プロンプト当たり平均5件の実行アクションと約600語の出力が発生した。これに対し熟練者は、実行アクション数が約2倍、出力量も約3200語と5倍超に達した。熟練者ほど、AIエージェントの自律性を積極的に活用していることを示している。
成功率の差も大きかった。最も厳格な基準でみた成功率は、初心者で約15%にとどまったのに対し、中級以上の利用者グループでは28~33%だった。失敗率も、初心者が19%だったのに対し、ほかの利用者グループは5~7%にとどまった。
Anthropicは、経験の浅い利用者ほど望む結果を得にくく、途中で断念しやすい傾向があると説明した。
一方で、コーディングのバックグラウンド自体の重要性は以前より低下しているとの見方も示した。Anthropicによると、コード生成作業では主要職種の成功率がソフトウェア開発者グループと大きな差を示さなかった。
この点についてAnthropicは、「コーディングエージェントの登場により、プログラミングの成功においてコーディングのバックグラウンドは以前ほど重要ではなくなっているようだ」と分析した。
Anthropicは今後、非開発職によるコーディング作業の成功率がさらに高まれば、ソフトウェア開発は特定職種に限られた業務ではなく、さまざまな分野の従事者の日常業務の一部になり得ると見通した。AIコーディングツールは、開発者の生産性を高める補助的な手段にとどまらず、誰もがソフトウェアを作成し業務を自動化するための汎用的な基盤へと広がりつつあるという。