写真=Nexon Gamesのパク・ヨンヒョン代表(右)とGame Generationのイ・ギョンヒョク編集長

Nexon Gamesのパク・ヨンヒョン代表取締役は6月16日、「2026年 Nexon開発者カンファレンス(NDC 26)」の対談セッションで、複数ジャンルのゲームを同時に開発する体制について、「当初から描いた戦略ではなく、生き残るための選択だった」と語った。

対談のテーマは「異なるゲームを同時に開発するということ」。パク代表は、同社が現在、運営中タイトル4本と新規プロジェクト5本の計9プロジェクトを並行して進める背景や、その過程で蓄積した知見をどう競争力につなげるかを説明した。

多角化は戦略ではなく、業界構造が生んだ選択

パク代表は、多ジャンル同時開発の背景として、韓国ゲーム業界の構造を挙げた。海外のパッケージゲーム会社では、タイトル発売後に開発チームを解散し、新規プロジェクトへ人員を再配置しやすい。一方、韓国ではオンラインゲームを軸に市場が成長してきたため、リリース後も多くの開発人員がライブサービスの運営に継続して関わる必要があるという。

同氏は「10年、20年続くゲームを持つ会社は生き残れるが、そうでない会社は10年以内に姿を消しかねない」と指摘。その上で、「そこまでの成功に届かなかった会社の経営者として、会社を10年以上存続させるために模索した結果が今の形だ」と述べた。最初から多角化を設計したのではなく、生存のための判断を積み重ねた結果だという。

ジャンルの拡張についても、同じ文脈で説明した。既存の運営タイトルと近い作品を再び作れば社内で競合が生じやすく、主力人材もRPGの開発経験を基盤としている。そのため、まったく新しい領域に踏み出すのではなく、RPGを軸に別の要素を加える形で広げてきたとした。

パク代表は「銃を撃つタイトルやサブカル系の作品に見えても、コアの部分はRPGに近い」と説明。「外から見ればジャンルは幅広く見えるかもしれないが、社内ではそれほど高リスクな挑戦とは受け止めていない」と語った。

市場環境もこうした方向性を後押ししているとの見方を示した。最近のユーザーニーズについては、「あらゆる要素を備えた超大型ゲーム」か、「ユーザーが求める一点を確実に押さえたゲーム」かの両極に機会が集中していると分析。「中途半端なゲームが最も生き残りにくい」と述べた。

超大型タイトルは開発費の負担が重く、逆にニーズを極端に絞った高リスクタイトルは経営の安定につながりにくい。そのため、複数タイトルを並行して進める体制が、現実的なバランスになると説明した。

サブカル系ゲーム市場については、中国企業のタイトル流入が増え、韓国と日本の中規模タイトルは生き残りが難しくなっていると指摘した。「中国勢並みのクオリティで勝負するか、ユーザー層を極端に絞り込むか。その両極にしか機会が残っていない」と語った。

同時開発の要はプロジェクト間の経験共有

複数プロジェクトを並行して進める上で最も重視している点として、パク代表はプロジェクト間の経験共有を挙げた。「並行して開発していても、最終的にぶつかる課題はそれほど変わらない」とし、「あるチームがどう解決したかを見て、その経験を別のプロジェクトに持ち込む」と述べた。

先行するプロジェクトで発生した問題は、時間差を置いて別のプロジェクトでも起こりやすい。事前に注意を促したり、解決策を共有したりすることで、同じ失敗を減らせるという考えだ。

具体例として挙げたのが「Blue Archive」だ。同作に先立ってモバイルRPG「OVERHIT」を日本で展開した際、通常のローカライズ以上のコストを投じた経験があり、それがBlue Archive初期開発時の判断につながったという。

パク代表は、キム・ヨンハPDが当時求めたサブカル系ゲーム特有の要件について、「当時の基準では、そこまでやるのかと思う内容だった」と振り返る。一方で、「OVERHITでの経験があったからこそ、会社として理解し、受け入れることができた」とし、「こうして経験が次につながっていく」と語った。

人材の転職によって知見が失われるリスクについては一定の理解を示しつつも、「経験の一部は確実に会社に残る」と述べた。1本のゲームを5〜6年運営してから次作に移る会社と、その間に複数タイトルを開発してきた会社では、市場トレンドへの適応速度に差が出るとみている。

代表の役割は方向づけと問題対応

パク代表は、9プロジェクトを統括しているものの、各ゲームの具体的な中身には基本的に関与しないと説明した。どの市場を狙うのか、どの程度の規模で参入するのか、どの水準の品質を目指すのかといった方向づけを行い、開発中に問題が起きた場合にのみ対応に入るという。

「ゲームを作る主体はPDとディレクターであって、私ではない」とした上で、「この線引きを維持することが最も重要だ」と強調した。クエスト設計やストーリーといった内容面は、PDとディレクターに権限を委ねている。

共有リソースの配分についても、「人員効率だけを厳しく追求すると、実際の制作では衝突が大きくなる」と説明。各開発チームがある程度独立して動くほうが、効率面で多少のロスがあっても望ましいとの考えを示した。

リリースが近いプロジェクトでは、自ら該当チームの席に入り、現場で状況を把握することもあるという。通常の報告ラインを通じて情報を受け取るのではなく、現場に入り込み、プラットフォーム対応やパブリッシング、マーケティングなど、PDだけでは判断しにくい課題をその場で処理するためだ。全プロジェクトについては、週1回の定例ミーティングも実施している。

次の課題はヒット後の長期運営

パク代表は、Nexon Gamesについて「ゲームを市場に定着させるところまでは、ある程度できるようになった」と評価する一方、長期運営につなげる力はなお課題が残るとした。初動でヒットしても、1年から1年半ほどで指標が鈍化するパターンを繰り返してきたという。

「Blue Archive」はサービス開始から5年を超え、例外的な成功事例になったが、これを再現可能な仕組みに変えることが次の課題だと位置づけた。

同氏は「市場を切り開くところまでは、かなりうまくやれてきたと思う」としつつ、「リリース後にユーザーと長く伴走しながら運営していくには、また別のノウハウが必要だと感じている」と述べた。

その上で、複数プロジェクトの同時開発は、単なるラインアップ拡充ではないと強調した。各プロジェクトの試行錯誤を会社の知見として蓄積し、次のプロジェクトに反映していくことこそが本質だという。今年末から新規プロジェクトが順次成果を出し始めれば、この蓄積の構造がより明確になるとの見通しを示した。

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