写真=Isar Aerospace

Isar Aerospaceは15日、Spectrumロケットの2回目の試験打ち上げを見送った。打ち上げ準備中に機体システムの異常兆候が確認され、カウントダウンを停止した。新たな打ち上げ日程は明らかにしていない。

米Ars Technicaによると、異常が確認されたのは打ち上げ準備の過程。Isar Aerospaceは新たに取得したデータを解析し、原因の特定を進めている。

Spectrumはノルウェー北部のアンドーヤ宇宙基地から打ち上げる計画だった。アンドーヤ・スペースは、現在の発射ウィンドウが21日まで開いているとしている。

全長28メートルの2段式ロケットであるSpectrumは、この5カ月で2回目の試験飛行を目指し、これまで4回の打ち上げ機会が設定されたが、いずれも実施に至っていない。今年に入ってからも3度、打ち上げが見送られている。

1月21日は加圧バルブの不具合で中止となった。3月25日には打ち上げ直前に液体プロパン燃料の温度が上昇し、カウントダウンを停止した。同社によると、飛行経路下の立ち入り制限海域に未許可の船舶が入ったことでカウントダウンが遅れ、それが問題発生の一因になったという。4月9日には、複合材圧力容器の漏えいの疑いを点検するため、打ち上げを延期した。

アンドーヤ宇宙基地の運用環境も日程確保の難しさにつながっている。同基地は軍の試験場として使用されることが多く、先月はミサイル試験が優先されたことで打ち上げスケジュールの調整に支障が出た。周辺海域の漁業活動と打ち上げ時の危険区域が重なることも、日程の重複を招く要因とされている。

Isar Aerospaceは、欧州の次世代ロケット開発スタートアップの中で先行する企業の1社とみられている。ドイツのRocket Factory Augsburg、フランスのMaiaspace、スペインのPLD Spaceも小型衛星打ち上げ機の開発を進めているが、試験打ち上げを実施したのはIsar Aerospaceのみだという。

もっとも、2025年3月に実施した初の試験飛行は、打ち上げから1分足らずで発射台近くに墜落し、失敗に終わった。当時は、ベントバルブが意図せず開いた後に姿勢制御を失ったことが主因と指摘されていた。

今回の2回目の試験飛行では、キューブサット5機に加え、分離しない技術実証機1基を搭載する計画だった。打ち上げは、欧州宇宙機関(ESA)の「Boost!」プログラムと、ドイツ航空宇宙センター(DLR)のマイクロランチャー競争支援事業の支援を受けている。

資金面では、Isar AerospaceはESAの「European Launcher Challenge」プログラムを通じ、最大2億500万ユーロの支援を受ける予定だ。民間投資と金融調達の累計は8億ユーロを超え、先週発表した2億7000万ユーロの新規調達も加わる。欧州の民間打ち上げ機企業の中でも厚い資金基盤を持つ一方、相次ぐ延期と限られた飛行実績を踏まえると、実運用能力の立証はなお課題として残っている。

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