IMECが、6Gの普及に向けた課題とされるコストと拡張性に対応する新たなチッププラットフォームを示した。無線アクセス網(RAN)をAI計算基盤として活用する流れにもつながる取り組みで、通信を次のAI成長市場と位置付けるNVIDIAの戦略とも重なる。
TechRadarが15日付で報じたところによると、今回の成果は、次世代無線通信の本格展開を見据え、RANそのものをAI計算基盤として活用しようとする業界の方向性と接点を持つ。
NVIDIAのCEO、ジェンスン・フアン氏は、通信分野をAIの次の成長領域としてたびたび強調してきた。業界では、6G時代の到来によってソフトウェアとハードウェアの境界がさらに薄れ、各RANがAI演算機能を備える構造へ移行する可能性に注目が集まっている。
もっとも、こうした構想が市場に広がるには、基盤技術をどこまで低コスト化し、使いやすくし、大規模展開に耐えられる形にできるかが重要になる。
IMECが今回示したチッププラットフォームは、こうしたボトルネックの解消を狙うものだ。IMEC研究チームのシャオ・スン氏は、「今回の研究では、性能、拡張性、製造可能性を兼ね備えた高度集積プラットフォームを実証した」と説明した。
そのうえで、「次の優先課題は、プラットフォームの技術成熟度を高め、少量生産への対応を進めることだ。パートナーが次世代RFシステムをより容易に開発・拡張できるよう支援したい」と述べた。
NVIDIAは通信分野で既に積極姿勢を鮮明にしている。フィンランドの通信機器大手Nokiaの株式2.9%の取得に向け、10億ドル(約1500億円)を投じた。
さらに、6Gを支えるAIネイティブプラットフォームの構築を目標に、グローバルな通信業界連合も立ち上げている。
NVIDIAは通信を新たなAI収益源とみると同時に、自社のソフトウェア層とハードウェアスタックを一体で拡張できる戦略市場としても位置付けている。
こうした中で、IMECの存在感も増している。IMECはベルギーに拠点を置く非営利の研究開発機関で、半導体や先端プロセス研究を商用化段階へつなぐ役割を担う。現在は世界600社超の産業パートナーと協力している。
TechRadar Proの編集長デジレ・アソ氏は、IMECについて「シリコン業界の国連のような存在だ」としたうえで、「世界で最も価値の高い技術企業が集まり、今後10年の技術パイプラインを議論し、形づくる場だ」と評価した。
今後の焦点は、こうした技術がどの程度のスピードで実装・普及するかにある。6G向けチップ技術の低コスト化と大規模展開が進めば、通信網のAI化も一段と加速する可能性がある。
NVIDIAをはじめ主要各社がAIの次の成長エンジンを探るなか、IMECのプラットフォームが技術成熟度の向上や少量生産への対応につながるかが注目される。