AI導入でかえって生産性が低下したケースもある。写真=Shutterstock

英国の職場でAI活用が急速に広がる一方、削減できた業務時間の多くが、AIの出力確認や修正対応に費やされていることが分かった。

TechRadarが15日(現地時間)に報じたGleanの調査によると、英国のオフィスワーカーは業務の自動化によって週平均12時間を削減したが、このうち6.3時間は、いわゆる「エージェント管理」に充てていた。

Gleanの調査では、英国のオフィスワーカーの9割が業務でAIを利用しており、この比率は米国の84%を上回った。一方で、勤務先がAI活用に最適化されているとみる回答は42%にとどまった。現場での利用は進んでいるものの、運用体制や成果管理までAI前提で整備できている企業は限られていることを示している。

個人レベルの実感と、組織全体の成果認識との間にも大きな隔たりがあった。回答者の78%はAIが自身の生産性を高めると答えたが、組織全体の成果に目立った効果があるとみる回答は18%にとどまった。個々の作業スピード向上が、そのまま企業全体の効率改善につながるわけではないことが浮き彫りになった。

背景には、AIが人の仕事を全面的に置き換えるというより、業務の中身を「実行」から「確認・修正」へと変えている実態があるとみられる。従業員はAIに作業を任せる時間よりも、成果物を点検する時間に多くを割いていた。関連業務の内訳は、エージェント管理が38%、AIへの作業委任が36%だった。

誤りや手戻りの負担も無視できない。AIを使った作業の3分の1超は失敗に終わり、英国の労働者の77%が直近1カ月にAIの生成物を修正、または作り直した経験があると答えた。直近1週間で同様の対応をしたとの回答も26%に上った。

企業のAI導入をどう評価するかについても、見直しを求める声が出ている。Work AI Instituteの責任者、レベッカ・ヒンズ氏は、多くの企業が実際の成果ではなく利用量を中心に導入効果を判断していると指摘した。「アカウント数やプロンプト数、利用量の多さだけでAI導入を評価するやり方には限界がある」と述べた。

このため、IT部門がAI投資のROIを示すには、単純な時間削減だけでは不十分との見方が強まっている。企業は、誤りの修正やプロンプトの調整、結果の検証にかかるコストも含めて効果を評価する必要がある。ヒンズ氏は、生産性向上が過大評価されている可能性に言及し、GleanはAIの実際の影響を再測定することで、どの領域で最も成果が出ているかを確認できると説明した。

こうした状況を受け、企業の課題はAI利用の拡大そのものから、運用品質の管理へと移りつつある。利用率が上がっても、確認や手戻りの負担が減らなければ、組織全体の成果改善は限定的になりかねない。AI導入の評価軸も、利用量から結果の正確性や検証効率へと移行していく可能性が高い。

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