各国で、子どもや青少年のSNS利用を制限する動きが広がっている。英国は16歳未満を対象とする利用禁止法案を年内に議会へ提出し、2027年初めの施行を目指す。オーストラリアやマレーシアなどに続く動きで、規制の対象はSNSにとどまらず、ゲームやライブ配信にも広がりつつある。
背景には、保護者や教育関係者の間で、子どもや青少年をオンライン上の有害情報や依存リスクから守るため、政府とテック企業に一段と踏み込んだ対応を求める声が強まっていることがある。
英国政府は、16歳未満のSNS利用を禁じる規定を年内に議会へ提出する方針だ。対象としては、Snapchat、TikTok、YouTube、Instagram、Facebook、Xが想定されている。
キア・スターマー首相は、この措置について「完全ではなく、コストもかかるかもしれないが、政府は選択しなければならない。全面禁止が正しい判断だ」との考えを示した。
英国政府は3月、この件に関する意見公募を実施し、保護者や青少年、業界団体、専門家から11万6000件超の意見を受け取った。英調査会社YouGovが12月に実施した調査では、英国民の74%が禁止措置を支持した。
オーストラリアは2025年12月、16歳未満によるSnapchat、Facebook、TikTokなどの利用を禁じる措置を世界で初めて施行した。2026年1月には、同国の規制当局が、SNS各社が16歳未満に該当する約470万件のアカウントを削除したと発表している。
こうしたオーストラリアの対応は、英国を含む各国で注目を集めた。英国はこの仕組みを自国の事情に合わせて修正し、導入する考えだ。
さらに英国は、オーストラリア型の規制より一歩踏み込み、16歳未満についてはライブ配信や、プラットフォーム上で見知らぬ相手と交流する機能も制限対象とする方針だ。対象はSNSに限らず、ゲームサイトにも及ぶ。
マレーシアも6月、16歳未満がSNSアカウントを保有することを禁じる規定の運用を始めた。政府は2025年11月に計画を公表しており、約6カ月で実施に移した。AP通信によると、既存利用者に対する年齢確認は今後6カ月かけて段階的に進める予定で、企業には罰金が科される可能性がある。一方、保護者は処罰の対象外とされる。
インドネシア国家警察も3月、16歳未満の子どもによるTikTok、YouTube、Facebook、Instagram、Robloxなど、いわゆる高リスクプラットフォームの利用を禁じる新規定の施行を始めたと発表した。
ブラジルでは3月、中毒性や暴力性、わいせつ性のあるオンラインコンテンツから子どもを守る法案が施行された。これにより16歳未満の子どもは、自身のアカウントを法定後見人に紐付ける必要があり、後見人がSNS利用を監督できるようになる。
EU加盟国でも、子どもや青少年のSNS利用を制限する動きが具体化している。
スペインのペドロ・サンチェス首相は2月、プラットフォーム事業者に実効性のある年齢確認システムの導入を義務付ける計画を発表した。実施には議会の承認が必要となる。
フランスでは9月の新学期ごろ、15歳未満を対象とするSNS利用禁止措置が施行される可能性がある。ニューヨーク・タイムズによると、与野党を問わず幅広い支持を集めており、エマニュエル・マクロン大統領も積極的に支持している。
デンマークは2025年11月、15歳未満の青少年による特定のSNSプラットフォーム利用を禁じる計画を公表した。13歳以上は保護者の許可があれば利用できる。
このほか、オーストリア政府は3月、14歳未満の子どものSNS利用を禁じる計画を発表した。ギリシャのキリアコス・ミツォタキス首相も4月、15歳未満の子どものSNS利用を禁じる法案が2027年1月1日に施行されると明らかにした。ニューヨーク・タイムズによると、反対意見は少なく、今夏中に可決される見通しだ。
米国では、児童オンラインプライバシー保護法(COPPA)によって、企業が13歳未満の利用者の個人情報を収集することが禁じられている。ただ、子どものSNS利用を全面的に禁止する制度は州ごとに法規制が異なり、全国一律での導入は容易ではないとみられる。
一方、民間でもSNSプラットフォームに対する圧力は強まっている。3月には、Instagramを運営するMetaとYouTubeを運営するGoogleを相手取ったSNS依存訴訟で、20歳の女性原告が勝訴した。
もっとも、こうした規制の実効性はなお不透明だ。ニューヨーク・タイムズによると、オーストラリアでは16歳未満を対象とする禁止措置の施行から6カ月が経過した現在も、10代前半の多くが回避手段を使って利用を続けている。
一部の10代は、年齢推定スキャンを避けるために口ひげを書き足したり、虚偽の生年月日で新規アカウントを作成したりしている。親や兄弟のアカウントを使う例や、自分のアカウントをそのまま使い続けている例もあるという。
それでも、長期的には一定の効果を見込む声はある。ニューヨーク・タイムズは、一部の保護者が、規制の影響はまだSNSを使っていない子どもたちにこそ表れ、禁止措置によって今後も利用しない可能性が高まるとみていると伝えた。