生成AIは情報取得を効率化しても、学習の質を自動的に高めるわけではないことを示した。

米ジョージア工科大学やミシガン大学などの研究チームは、生成AIチャットボットで情報を調べた利用者は、従来型の検索エンジン利用者に比べて学習効果が低くなる可能性があるとの研究結果を公表した。比較実験では、ChatGPT利用者の方が知識の応用力や複数情報の比較・評価で弱さが目立ったという。

研究チームは論文「Learning by Chatting? Investigating the Impact of Generative AI on Information Seeking and Learning」で、ChatGPTとGoogle検索の学習効果を比較した8日間の実験結果をまとめた。

研究では、生成AIの普及によって情報探索がキーワード検索から対話型の質問へ移りつつある点に着目した。テーマは「栄養と食事計画」で、参加者を2グループに分けて学習プロセスの違いを調べた。

参加者は計80人で、最終分析の対象は35人。1グループはChatGPT、もう1グループはGoogle検索を利用した。Google検索ではAI要約機能を無効にした。

その結果、ChatGPT利用群はGoogle検索利用群に比べ、全体として学習効果が低い傾向を示した。特に差が表れたのは、学んだ知識を別の状況に応用する力と、複数の情報を比較・評価する力だった。

研究チームは主な要因として2点を挙げる。1つは生成AIの回答の出し方だ。ChatGPTは基礎原理や仕組みよりも、完成した結果を先に提示する傾向があったという。

例えば、バランスの取れた食事を調べる場面では、Google検索は栄養素の比率やその根拠を説明する資料にたどり着きやすかった。一方、ChatGPTは具体的な献立案や買い物リストをすぐ提示するケースが多く、「なぜそうなるのか」を理解する学習の過程が省かれやすいと分析した。

もう1つは、情報探索行動そのものの変化だ。研究チームは、対話型インターフェースが利用者の視野を狭め、情報を検討するプロセスを減らす可能性があるとみている。

ChatGPT利用者は、「自分に合う食事は何か」といった個別最適化された狭い問いから調べ始める傾向があった。これに対し、検索エンジンの利用者は複数のサイトを行き来しながら視点を広げ、情報の信頼性を自ら確かめる行動を取りやすかった。

また、AIが1つに整理された回答を提示することで、利用者は複数の出所を比較したり、別の見方を探したりする手間が減る半面、示された答えをそのまま受け入れる受動的な学習につながる可能性が高まると指摘した。

実際、複数情報の比較・評価能力では、ChatGPT利用群の弱さが目立ったとしている。

利便性の高さが、そのまま学習満足度の向上につながらなかった点も注目される。ChatGPTを使った参加者は、学習プロセスに対する不満がむしろ大きかったという。

必要な水準の情報や望む形式の回答を得るには、質問の仕方を何度も変える必要があった。そのため、自分のペースで情報を選び取りながら学ぶ感覚を持ちにくかったと研究チームはみている。AIが検索を置き換えて利便性を高めるとの期待とは異なり、情報の主導権を十分に持てない場合には、学習時の負担が増す可能性があるとした。

今回の研究は、生成AIが情報へのアクセス速度を高めても、学習の質まで自動的に引き上げるわけではないことを示した。原理の理解や情報の検証、比較判断が重要な学習では、検索エンジン型の情報探索がなお強みを持つ可能性がある。

研究チームは、生成AIを学習ツールとして使う際には、完成した答えを受け取るだけでなく、出所を幅広く確認し、根拠を吟味しながら活用する必要があるとしている。

キーワード

#人工知能 #生成AI #ChatGPT #Google検索 #学習効果 #情報検索
Copyright © DigitalToday. All rights reserved. Unauthorized reproduction and redistribution are prohibited.