イーロン・マスク氏の純資産が1兆ドルを突破し、ビットコインを除く世界の暗号資産時価総額を上回った。SpaceXの上場に伴って同氏の保有株評価額が膨らみ、資産規模が一段と拡大した。
14日(現地時間)、CryptoSlateによると、ブルームバーグ・ビリオネア指数でマスク氏の純資産は約1兆1100億ドルとなった。
資産急増の主因はSpaceXの新規株式公開(IPO)だ。SpaceXはナスダック上場初日に企業価値が2兆2000億ドルに達した。
公募価格は1株135ドル。上場に伴い約750億ドルを調達した。初値は150ドルを付け、取引時間中には一時176.50ドルまで上昇。13日の終値は161ドルだった。
上場初日の売買も異例の活況となった。ブルームバーグのETFアナリスト、エリック・バルチュナス氏は、SpaceXの売買代金が初日に約850億ドルに達したと明らかにした。
同氏は、この水準が過去のIPO記録を上回るだけでなく、米株市場でも単一銘柄の1日当たり売買代金として上位に入ると評価している。
マスク氏は現在、SpaceX株の約42%を保有している。上場後の企業価値急騰で持ち分の評価額が大きく膨らみ、個人資産も1兆ドルを超えた格好だ。
暗号資産市場と比べると、その規模はさらに際立つ。TradingViewのTOTAL2指数によれば、ビットコインを除く暗号資産全体の時価総額は約8800億ドルで、マスク氏の純資産を下回る。
CoinGeckoの集計では、暗号資産市場全体の時価総額は約2兆2700億ドル。このうちビットコインが約1兆2800億ドルを占め、残るアルトコイン市場の規模はマスク氏の資産額を下回った。
これは、アルトコイン市場が高値圏から大きく縮小したことも示している。TradingViewのデータでは、ビットコインを除く暗号資産の時価総額は2025年10月に1兆7000億ドルを超えたが、その後はほぼ半減した。
市場では、機関投資家の資金が暗号資産から大型テック株や人工知能(AI)関連銘柄へシフトしたことが背景にあるとみられている。
一方で、マスク氏と暗号資産市場との結び付きが完全に薄れたわけではない。マスク氏は過去に、ビットコイン、イーサリアム、Dogecoinを個人で保有していると公表している。
企業ベースでも保有状況は確認されている。上場後に公開された資料によると、SpaceXは財務準備金として約1万8712BTCを保有しており、評価額は13億ドルを上回る。
Teslaも約1万1509BTCを保有する。両社の保有分を合算すると、上場企業ベースで5位のビットコイン保有規模に相当するという。
マスク氏はソーシャルプラットフォームX(旧Twitter)を通じ、金融市場との接点も広げている。Xでは、株式や暗号資産のリアルタイム価格を表示する「Cashtag」機能を提供しており、投資関連情報へのアクセスを高めている。
今回の記録は、マスク氏の資産の大半が現金ではなく株式価値に連動していることを浮き彫りにした。同時に、市場資金がアルトコインより大型テック株やAI関連企業に集中している現状を象徴する構図ともいえそうだ。