ビットコイン採掘の収益性が5%を下回り、市場では「採掘者の降伏」シグナルが再び注目を集めている。足元の価格は生産コスト近辺で推移しており、長期投資家の間では買い場を示すとの見方が出る一方、弱気相場の最終安値はなお先になるとの警戒もくすぶっている。
Cointelegraphが12日(現地時間)に報じたところによると、ビットコイン現物価格は採掘難易度や生産原価と比べて低い水準にとどまり、採掘業界の収益性は大きく悪化している。
こうした状況を受け、市場では採掘業界への圧力を長期的な買いシグナルとみる見方が出ている。匿名トレーダーのKillaはXへの投稿で、価格と難易度に関する指標を根拠に、採掘者が「降伏している」と指摘したうえで、「歴史的に絶好の買い場を示してきたシグナルが再び現れた」と述べた。
オンチェーン分析プラットフォームBitboの「採掘者の降伏」チャートも、これと同様の動きを示している。ビットコイン現物価格を長期的な採掘難易度の下限と比較する指標は足元でマイナス圏に入り、過去の弱気相場で確認されたパターンに近づいている。こうした局面では、採掘企業の収益悪化を背景に売り圧力が強まりやすい。
採掘コストの面でも環境は急速に厳しさを増している。ビットコインとデジタル資産の定量モデル運用を手がけるCapriole Investmentsの創業者、チャールズ・エドワーズ氏は今週の分析で、ビットコインが実質的に生産原価水準で取引されていると指摘した。採掘事業者は「平均すると辛うじて損益分岐点に乗る水準」にあるとしている。
Capriole Investmentsによると、現在の生産原価は約6万1200ドル(約918万円)、電力コストは4万8965ドル(約734万円)。これに基づく採掘マージンは4.67%で、6月初旬に付けた過去2年の低水準に近い。生産原価と電力コストは採掘企業の採算を測る主要指標で、ビットコイン価格がこの水準に近づくほど、採掘者の売却圧力は強まりやすい。
もっとも、市場が直ちに最終的な底値を付けたと判断するのは早計だとの見方もある。Killaは別の見通しとして、ビットコインの次の弱気相場の安値はなお残っていると指摘。「伝統的な金融市場が年内のどこかで調整した後、ビットコインが最終的な安値を形成する可能性が高い」と述べた。採掘者への圧力が買い機会を示す一方で、マクロ市場の調整がビットコインの一段安を招く可能性があるという見立てだ。
こうした見方は、採掘業界全体の収益悪化とも重なる。採掘マージンが5%を割り込んだうえ、ほかの指標でも採掘企業の利益水準は記録的な低さにある。過去には、ビットコイン価格が生産原価と電力コストの間の水準に接近した局面が長期投資の好機となった例もある。ただ今回は、採掘業界のストレスに加え、より広い金融市場が調整局面に入る可能性もあわせて見極める必要がある。
足元の市場では、長期的な買い場を示すシグナルと、弱気相場の安値がまだ確定していないとの警戒が同時に意識されている。今後は、ビットコイン価格が生産原価と電力コストの間でどう推移するかに加え、伝統的な金融市場で実際に調整が起きるかどうかが、相場の方向性を左右しそうだ。