Elon Musk氏。写真=Reve AI

SpaceXの最高経営責任者(CEO)であるElon Musk氏が、世界で初めて純資産1兆ドルを超えた。SpaceXがナスダック上場初日に19%上昇し、時価総額が2.1兆ドル(約315兆円)に膨らんだことが背景にある。

米紙Washington PostやAP通信によると、SpaceX株は1株150ドルで取引を開始。一時168ドルまで上昇し、終値は161ドルだった。公開価格ベースの企業価値は1.8兆ドル(約270兆円)だったが、初日の取引だけでTeslaの時価総額を上回った。

Forbesによると、Elon Musk氏が保有するSpaceX株の価値は8600億ドル(約129兆円)超。Teslaの保有株を含めた純資産は1.1兆ドル(約165兆円)に達した。Bloomberg Billionaires Indexでも前例のない水準となった。

Elon Musk氏の資産規模は、現在の世界の富豪上位4人の資産を合計した額に迫る。Forbesの集計では、ラリー・ペイジ氏、セルゲイ・ブリン氏、ジェフ・ベゾス氏、ラリー・エリソン氏の資産総額は、わずかに1兆ドルを上回る程度だ。

ジェフ・ベゾス氏とラリー・エリソン氏の資産はいずれも、Elon Musk氏の4分の1に満たないという。1916年にジョン・D・ロックフェラーが世界初の億万長者になってから110年を経て、1兆ドルの大台を突破したことになる。

Elon Musk氏は、テキサス州Starbaseで開かれた上場記念式典に出席した。そこで「宇宙飛行士数人を送り出すだけでなく、いまこれを見ているあなたを月や火星、その先へ連れて行きたい」と語った。

SpaceXは今年に入り、ロケット事業やAI、ソーシャルメディア基盤を組み合わせた構想を打ち出している。証券届出書では、「人類を多惑星種にするためのシステムと技術の構築」「宇宙の真の本質の理解」「意識の光を星々へ拡張すること」を目標に掲げた。

同社は、こうした事業の結合が「軌道上AIコンピュート」構想の実現を後押しすると主張している。再利用可能ロケットでAIデータセンター向けサーバーを宇宙に打ち上げ、宇宙ベースの演算インフラを構築できるという。

一方、市場の熱狂に冷ややかな見方もある。ニューヨーク大学スターン経営大学院のアスワス・ダモダラン教授は、SpaceXの適正価値を1.3兆ドル(約195兆円)と試算し、「1.8兆ドルという数字は、率直に言って作られたものだ」と指摘した。

同教授はさらに、「実際の数字を見ている人はいない。見ていると言う人がいるなら、それは事実ではない」とも述べた。

SpaceXは、衛星インターネットや軌道上データセンター、AI事業の拡大に必要な資金を確保するため上場を決めたと説明している。現時点では赤字企業だが、市場は将来の成長性に賭けた格好だ。

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