ビットコインが7万3000ドルまで下落し、短期的な下押し圧力が強まっている。現物需要の鈍化に加え、デリバティブ市場で積み上がっていたロングポジションの清算も重なっており、市場では6万ドル台後半まで調整が進む可能性も意識されている。
Cointelegraphが28日(現地時間)に報じた。足元の下落局面では、現物市場の買いの勢いが弱まる一方、先物市場ではロング偏重が進んでいたとされる。
市場で注目されているのが、分配局面入りを示すシグナルの広がりだ。分析家のクリプトオンチェインは、ビットコインが一時7万2500ドルまで下げた背景として、現物需要の鈍化とデリバティブ市場のロング偏重を挙げた。Coinbaseプレミアム指数は直近3カ月平均を1083%下回り、Coinbaseプレミアムはマイナス94.95ドルまで悪化した。米国投資家が海外市場より低い価格でビットコインを売却していたことを示し、通常の押し目買い局面よりも大きな分配局面で表れやすい水準だという。
Binanceでも売り圧力の強まりが確認された。直近7日間のビットコイン純流入量は平均1496BTCとなり、3カ月平均に比べて528%増加した。
デリバティブ市場の指標も弱気方向に傾いた。Binanceの資金調達率は、ビットコインが7万5000ドルの節目を下回る前に、3カ月平均比で781%上昇した。同日には暗号資産市場全体の清算額が9億3500万ドルに達し、時価総額も410億ドル減少した。
中堅・大口保有主体の動きにも変化が出ている。100BTC以上1万BTC未満を保有する主体のビットコイン流出量は64万8000BTCまで増え、2月初旬以降で最高水準となった。この保有層の動きは、市場の転換点を見極めるうえで重要な指標とされる。
一方で、今回の調整局面は昨年10月と今年2月の急落時とは様相が異なる。当時は長期保有者が価格下落に合わせて保有比率を積極的に落としていたが、今回は古いビットコインの供給が同じペースでは市場に出ていない。長期保有者の保有比率は流通量の84.3%に達しており、ビットコインが2025年7〜9月に10万5000ドルから12万6000ドルのレンジで推移していた時期と同水準だ。
現物市場の過熱感も急速に後退している。市場分析家のダークポストは、Binanceの現物取引高が2025年10月の1986億ドルから足元では364億ドルへと81%減少したと指摘した。月間のビットコイン現物取引高も、2月の約840億ドルから直近3カ月で約500億ドル減った。取引参加者が減る局面では出来高が細り、目先の売り圧力が和らぐ場合もあるという。
損失確定売りの圧力も弱まっている。ビットコインの実現損失の30日移動平均は5月26日時点で1285万ドルまで低下した。2月19日の5600万ドルから大きく縮小しており、損失を受け入れて売却する市場参加者が減ったことで、7万5000ドル近辺での投げ売りも以前ほど強くないことを示している。
足元の市場では、短期的には分配の進展と売り圧力の高まりが意識される一方、長期保有者の保有分はなお市場に出にくい状態が続いている。価格が6万〜7万ドルのレンジまで一段安となる可能性は残るものの、長期資金がどこまで持ちこたえるかが、今後の下落幅と調整スピードを左右する焦点となりそうだ。