貯蓄銀行業界が2026年1〜3月期に3338億ウォン(約367億円)の当期純利益を確保し、黒字基調を維持した。不動産プロジェクトファイナンス(PF)関連の不良債権処理や貸倒引当負担の軽減が収益改善を後押しした。一方で、中・低信用者向けの中金利融資はこの1年で1兆ウォン超減少しており、庶民向け金融機能の低下が課題となっている。金融当局が来月の導入を進める「中・低信用者向け生活安定資金融資」が、縮小した庶民金融市場のてこ入れ策となるかが注目される。
貯蓄銀行中央会が29日に公表したデータによると、全国の貯蓄銀行の2026年1〜3月期の当期純利益は3338億ウォンで、前年同期の440億ウォンから2898億ウォン増加した。2025年通期の黒字転換に続き、2026年も改善基調を保っている。
収益改善の主因は引当負担の軽減だ。1〜3月期の貸倒引当金繰入額は8018億ウォンとなり、前年同期比で1040億ウォン減少した。不良PFの処理に加え、不良債権の売却・償却が進み、追加引当の負担が和らいだとみられる。非金利損益も2944億ウォンと、前年同期から大きく改善した。
貸出動向にも持ち直しの兆しがみられた。総与信は2026年3月末時点で95兆ウォンとなり、前四半期比で1兆5000億ウォン増加した。なかでも企業向け融資は48兆1000億ウォンと、前四半期から1兆9000億ウォン増え、全体の増加をけん引した。中小企業の資金需要が一部で回復し、貯蓄銀行の貸出も増加に転じたとの見方が出ている。
自己資本の健全性も安定している。国際決済銀行(BIS)基準の自己資本比率は16.0%で、前四半期比0.1ポイント上昇した。流動性比率も170.8%と法定基準を大きく上回った。貯蓄銀行中央会は、十分な資本水準と安定した流動性を背景に、経営の安定性を維持していると評価している。
もっとも、健全性への懸念が完全に解消したわけではない。延滞率は6.7%と前四半期比で0.7ポイント上昇し、固定以下与信比率も8.6%に高まった。景気回復が想定より遅れるなか、自営業者や中小企業の返済負担は重く、不良化リスクはなお残っているとの見方だ。
業界内外では、収益回復とは別に、中金利融資の供給縮小を懸念する声が強まっている。貯蓄銀行はこれまで、中・低信用者や小規模事業者向けの資金供給の受け皿として機能してきたが、足元では関連融資が急減しているためだ。
貯蓄銀行中央会によると、2026年1〜3月期の中金利融資の取扱額は1兆7235億ウォンとなり、前年同期から1兆232億ウォン減少した。中金利融資を扱う貯蓄銀行の数も減少し、1行当たりの平均貸出規模も縮小した。
背景には、2025年に実施された家計向け融資規制の強化があるとされる。借り手ごとの信用貸出限度が年収の範囲内に制限されたことで、貯蓄銀行が供給できる中金利の信用融資市場そのものが大きく縮小した、との分析だ。
こうしたなか、金融当局が来月の導入を目指して進める中・低信用者向け生活安定資金融資が、新たな焦点となっている。信用スコア下位50%以下の借り手を対象に、最大1000万ウォンまで支援する商品だ。生活安定目的の資金については、既存の信用融資限度規制を一部例外扱いとする方針で、行き詰まっていた中・低信用者向け信用融資市場の一部回復につながるとの期待も出ている。
業界も関連商品の投入を検討している。ただ、貸出限度や借り手の要件が限定的なため、実際に供給拡大につながるかは見極めが必要だとの声もある。
PF不良債権の処理後、貯蓄銀行業界では健全性管理が最優先課題となっている。延滞リスクの高い中・低信用者向け融資を積極的に増やしにくい可能性があるためだ。
貯蓄銀行業界の関係者は「当面は黒字基調を維持しつつ、健全性管理を重視した保守的な経営が続く見通しだ」と述べた。その上で「政府の包摂金融拡大策や、下期に予定されている中金利融資制度の改編を踏まえ、中・低信用者向け金融供給の役割を果たし、業界への信頼を高めていきたい」と話した。