フランス当局が無許可の暗号資産業者に対応を要請した。写真=Shutterstock

フランスで無許可のまま暗号資産事業を手掛ける事業者は、6月30日までに暗号資産市場規則(MiCA)の認可を取得できなければ、同国内での撤退や事業終了を迫られる見通しとなった。

ロイター通信などによると、フランス金融市場庁(AMF)は、期限までに認可を得られない事業者に対し、フランス市場からの撤退、または事業終了に向けた手続きを進めるよう求めた。

AMFのマリアン・バルバ=ラヤニ長官は同日のイベントで、期限後も無認可のままの事業者については、顧客資産や提供サービスの整理を含む終了計画を整備すべきだと述べた。顧客移管やサービス停止の手順をあらかじめ準備するよう促した格好だ。

今回の対応は、欧州連合(EU)でMiCAの適用が本格化していることを受けたもの。MiCAは暗号資産サービス提供者に認可取得を求める一方、EU加盟国のいずれかで認可を得れば他の加盟国でも事業を展開できる「パスポーティング」制度を認めている。

これにより、フランスで事業を展開する未認可事業者に残された猶予は限られてきた。AMFは期限が近づくなかで追加の公式見解を示していないものの、今回の発言を通じて、無許可営業を認めない姿勢を明確にした。

一方、EU域内ではMiCAの監督体制を巡る議論も強まっている。焦点となっているのは、加盟国ごとの監督権限を維持するのか、それとも欧州証券市場監督局(ESMA)に権限を集約するのかという点だ。

ESMAはパリに本部を置く。権限の中央集権化が進めば、各国当局の裁量が狭まるだけでなく、パスポーティングの枠組みにも影響する可能性があるとの見方が出ている。

マルタ金融サービス庁(MFSA)は、MiCAの規制構造を見直す議論について「現時点では早計」との見解を示した。MiCAは2024年に法的適用が始まったばかりで、各国当局が実際の影響を見極めるにはなお時間が必要だとしている。

欧州委員会で金融サービス分野の技術革新、デジタル転換、サイバーセキュリティのアドバイザーを務めるピーター・カーステンスも、2026年4月にMiCA見直しの可能性に言及した。より成熟した暗号資産市場に対応するため、MiCAが修正される可能性があるとした上で、既存条項の変更や域内の暗号資産サービス事業者への新たな義務付けを行う場合は、公開意見募集を経る方針を明らかにした。

こうしたなか、フランスが示した今回の期限は、単なる行政上の案内にとどまらず、MiCA移行期の運用基準を示す対応として受け止められている。今後は、各事業者の認可取得の行方に加え、EUが現行のパスポーティング体制を維持するのか、監督権限の見直しをどこまで進めるのかが焦点となる。

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